お前と暮らして13年か… 【ゴミ箱の中の天使】①
60代前半  東京都
2017/04/13 7:16
お前と暮らして13年か… 【ゴミ箱の中の天使】①
お誕生日おめでとう!


13年か…お前人間だったら、もう中坊だもんな!



なんかさ、オレ風邪引いたみたいで少し熱があるんだな。



頭、ボーッとしててさ、明け方お前の夢見たんだよ。


そう、お前と出会った時の夢さ。



13年前のあの日、オレは一度お前を見捨てたんだよ。


怖いよな。人間なんて勝手なもんさ。



でも、お前は見ない振りして数歩行き過ぎた僕の背中に、
ありったけの声で叫んだね。



「僕を見捨てないで!」



オレは迷ったさ。迷いながら振り返ったら、


ボロ雑巾みたいなお前と目が合ったね。



お前は、悲しそうな顔でオレを責めるように見つめていたね。


目…そう、すべては目からなんだよ。


あの時、オレが引き返さなかったら、今のお前とオレはなかったんだよ。



オレね、実は猫って嫌いだったんだよな。



でもあの日、お前はそんなオレを、【猫いのち】に変えてしまったんだよな。


あの日って、だんだん弱って行くお前を、よう子先生に診せた日さ。



今思えば、お前とオレって衝撃的な出会いだったな?


あんな出会いなんて、ワクワクでもなかなか無いよ(笑)


さあ、ギュッしてあげるから僕の膝の上においで。


この日記は、オレからお前へのラブレターさ。



二人で13年前のあの日にもう一度、飛んで行こう。





     ★☆★



真っ白なシーツの上に僕の子猫が乗せられている。


右耳は千切れかけ、左目は目ヤニで潰れ、もう開けることさえかなわない。


小さな鼻の穴からは黄色い膿が吹き出していた。



獣医は30過ぎの大柄な女で、子猫を見つめたまま、顎に手を当てて考え込んだ。



「もう少し早く連れて来れなかったの?」



「4~5日は、市販薬で様子見ていたんですが‥」



「あなたね…普通だったら致命傷よ。生き延びているのは、この子の執念ね」



僕は子猫を見つめた。




もう、僕を見つめる右の目も虚ろだ。



隣のケージには口輪をはめられた柴犬がいて、子猫を睨み戦慄の唸り声を上げている。



子猫は恐怖のあまり僕が差し出した右手にしがみつき、



つぶれていない右目だけを一杯に開けて僕を見つめた。



ニャ~と言う口まねだけ‥もう声は出ない。





『この子、お名前は?』

突然女医に聞かれて、僕は戸惑った。




『えっ、まだ何も‥』




女医は一瞬、僕を厳しい目で睨みつけた。




『あなた、本気なの?』



『え、10万位用意はあります』




『お金の話はしてないわ。この子の名前は【つくね】‥私が決める。いいわね!』




つくね…


つくねと言う名は、


彼の人生最大の命の恩人、Aクリニックのヨウ子先生がつけてくれたのだ。



ヨウコ先生は、つくねの後頭部にできた膿溜まりを、注意深く観察した。



裂けた耳の付け根から首筋にかけて、卵大に膨れ上がっている。




「多分麻酔には体が耐えられないわ。この子にも私にも、かなり厳しい手術になりそうね」




つくねは、僕のワイシャツの袖に爪を立てている。



まっ白な小さな手を握りしめると、つくねは安心したように、ふっと目を閉じた。



なぜだか急に恥ずかしくなった。





『あなたはね、この子が地上に生まれて初めて心底慕った人なのよ…



あなたがいなければ、この子の生への執念も消えてしまうわ。付き添ってあげられる?』




『はい』




『もう一度聞くわ。あなた‥気まぐれじゃないわよね?」




ヨウコ先生に見据えられ、僕は力強くうなずくしかなかった。




壮絶な手術が、今まさに始まろうとしていた。




13年前の今日の話だ。





      -続-




スーパーの刺身盛り合わせで、



今日は、ささやかな【つくね】の誕生会です。



これは、7年前に書いた日記を焼き直ししました。







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コメント

60代前半  東京都

2017/04/14 1:24

49.  >>48 海斗さん

こんばんは。

もともと、生命力の強い猫[猫]なんでしょうね。

太い骨格、筋肉、密な体毛、6.4キロだけど

獣医さんに行くと、虎みたいですね!と他のお客に驚かれます(笑)

60代前半  鹿児島県

2017/04/14 0:15

48. 
つくねの歴史には、物凄い生命力と実の親子以上の愛が存在することに恐ろしく、驚かされる!

13回目の誕生日、おめでとうございます[バースデー]

60代前半  東京都

2017/04/14 0:11

47.  >>44 結さん

そうか、今年亡くなったのか? ペットとの別れは辛いね。

オレは結みたいに、美女に囲まれちゃあいないから、

せめてにゃん子と、べたべたしてるんだよ

60代前半  東京都

2017/04/14 0:04

46.  >>43 ( 'ω'o[ こころ]o ツボり過ぎて迷宮入りさん

実家の猫1歳で!?

一番可愛い盛りじゃないか、悲しいね[バッド(下向き矢印)]

美人薄命って言うのかな?そう言えば、こいつだんだんふてぶてしくなってきたよ(笑)

50代前半  東京都

2017/04/13 23:52

45. 13年かぁ
それだけの長い時間を過ごした
かけがえのない家族を
これからも大切にしてくださいね

40代後半  茨城県

2017/04/13 23:40

44. こんばんは

ペットも家族ですものね。誕生日おめでとうございます(^^)/

今年の1月、愛犬だったヨークシャーテリアを亡くしてから いまだに悲しみは消える事は無く…愛犬を亡くしてから、その存在の大きさを知りました。

僅か2㎏の小さな命が、
僕にとって、これ程までに大きな存在だったと改めて痛感してまいます。

もっと沢山の思い出を作りたかった…なんて今更ながら後悔してます。

三茶さんもペットとの時間を大切にして下さいね。

2017/04/13 23:29

43. つくねちゃんのお誕生日おめでとうヽ(*´∀`)ノオメデト─ッ♪
つくねちゃん、助けてもらって感謝してるよo('ー'o)ウン♪

実家の1歳に満たない猫が何か毒物でも食べたのか
吐いたかと思ったら、あっという間に息を引き取った
らしいです…
実家ではいつも綺麗な顔した人懐こい子だけ早死してます(´;ω;`)

60代前半  東京都

2017/04/13 21:38

42.  >>34 ヤックルさん

見たよ。実に和猫らしい凛とした茶トラだね。

タワーに馴染んだら中段の部屋から出て来なくなっちゃうんじゃないか?(笑)

うちのつくね[猫]は良く僕と遊ぶよ。夜中に遊びなくなって頭にスリスリは困るけどね(笑)

60代前半  東京都

2017/04/13 21:28

41.  >>33 リyo汰さん

ええっ、こぉ汰亡くなったの!まだ2歳で!?

あんなに可愛がってたのに辛かったね。

ログインが減ってたのは、それも原因か?

でも、こぉ汰も幸せな猫生だったんじゃないか?
元気出せよ。

60代前半  東京都

2017/04/13 21:23

40.  >>32 赤毛のおこま♪ (⌒~⌒)春うららの季節です。さん

犬派だったからね。

ロクが亡くなった喪失感が大き過ぎて、もうペットはやめようと思ってた。

そんな時に出会ったんだよ。でも今は、つくね[猫]は可愛くて仕方ない。

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