深酒すると夢に出る事がある。辞めた奴のことほど忘れないし、辞めさせた奴の事はもっと忘れない。今も脳裏に過る。一番覚えているのは同期の奴だ。オタクっていうのかな？情熱的なんだけど、そんなんじゃなくて。でも仕事やその物が、好きなんだなって感じ。それでいて淡々としてて、飾らなくって。性格とか、色んな面で俺とは正反対なタイプだったな。ほんとに不器用だから出世街道からも随分早い段階で外れてた。そんな彼奴の企画が満を持して出来上がって。かっこよかった。ほんとに。その当時、含蓄ない俺が見てもすごい企画ってわかった。でも、それがね。衝撃的に売れなかった。前衛すぎたんだと思う。コアすぎて。彼奴が思うほど消費者はそれにそこまでの期待をしていなかったんだな。賛否両論あったんだけどね。俺が切った。あきらめてくれって。終わりにしてくれって。それから半年ほど経って彼奴は会社を辞めた。一身上の都合とだけ言って。結果的に俺が彼奴を会社から追い出す形になったんだ。俺は悪い事をしたと思っていない。最近、人づてに彼奴がまた同業他社で諦めずにあの時の企画を立案しているのを耳にした。心の奥がなんだかザワザワしたんだよね。応援したくなるような嬉しさと同時に、そこでそんなこと上手くいくもんかっていう悔しい気持ち。俺は彼奴に嫉妬していたんだろうな。その実力に。その一本筋を通そうという男気に。決して真似できないそのかっこよさに。

お　なんだか陽が出てきたじゃんか

今日もまた　笑うよ