｢そんな事じゃあ、ただ何も得をする事もなく、歳をとっていくだけだぞ~｣

上司にいわれた。ほんと。ただそうだなと思った。

2カ月前がちょうど誕生日だったのだが、この年になると自分の年齢やら誕生日やらも、ま-忘れる忘れる。若い頃はあり得なかったな笑。何か必ず楽しみがあったからかな？いや、今が。老いていく自分、恐ろしくも無常で、それでいて全てに平等な、秒針の動き、早まるその動きに、そのカチカチとなる音に。認めたくない、避けたいという心の現れからか？誕生日か-。また1年年をとる訳だ。どんどんと日々の生活やらに埋もれてしまってて、誰かに言われるまで浮かんではこなかったな。その時、そんな私の手を取り、君はこう言った。羨ましい。この手が格好良くて羨ましい、と。これは受け売りなんですけど、手は、それを見ればなんとなくその人の今までの積み重ねが分かるんです。使えば使うほどさまになるんですよって。貴方はいままでちゃんとやってきて、そして今、この手がこう在るんだから。1個歳を取って1個得をしてるんですよ、と。この手を。こんな汚いガサガサのこの手を。得は無くても、何かはあるのかもしれない。年を食うのも悪くないって思えた。