諦めるところ
60代前半  山口県
2017/07/16 17:44
諦めるところ
陸上競技場に、知り合いのお嬢さんの応援に行きました
 
お嬢さんのお友達とも、面識があります
 
短距離と、やり投げと、中距離と…

応援の声が届くかな?
会えるかな?

行けば何とかなるでしょ!

何年ぶりかの、陸上競技場です


応援席の中ほどの、日陰の席に座りました

「おばちゃん!」

知り合いの子のお友達が、私を見つけて声をかけてくれました

「あら!見つけてくれて、ありがとう!」


心地いい風が吹き抜けます

「☆ちゃんは?」

「11時半からです」

知り合いの子やその子のお友達も、ベンチの後ろに集まってきました

「うちは、3時」

「うちは1時!」

みんな、見事にバラバラです

後ろに立っている中距離の子に、夫がプレッシャーをかけます

「1着でゴールしろよ」

「え~?!むりむりむり!たぶん、ドベやけぇ」

「諦めずに走って、最後まで手を抜かないでね」
私が言いました


目の前では走り幅跳び、トラックの中では砲丸投げ
目標地点を見つめて、全力を出します

1500が、向こう側からスタートしました

遅い子は、半周遅れです

それを見ながら、夫が聞きました

「マラソンは、ないんか?」

後ろに立っている子が驚きます

「え~っ?トラックを100周以上グルグルしたら、目が回るよ?」

「周回遅れの確認が難しそうね」
私が笑いました

「そうか?」
夫は不満そうです

「え?!1000周?」
その子は、夫の不満そうな声を、計算間違いと思ったようです

「105周くらいだから!1000周も回ったら、溶けてバターになるから!」
私が言いました

「やろ?間違えたかと思った~」

そうじゃなくて、「バターになるわけないやん」って言うところでしょ…


競技に励む見知らぬ子ども達を応援していると、風に乗ってツンと鼻をつく臭いがきます

呼吸に差し障ります

臭いのする方を見ると、風上に汗まみれの男子が6人座っていました

「この席、ちょっと無理かも…」

眉をしかめる私に、察しがいい女の子が、全部を言わなくても返してきます

「おばちゃん、それは諦めるところよ」

そう?
ん~!
諦めるのは、むり…

「そろそろ、お昼ご飯よね?もう帰るから!ガンバるのよ~」

臭いに負けて、お昼前に退散しました
コメントする

…━…━…━…

無料会員登録はコチラ

…━…━…━…