思い遣り方｜ワクワクメール

思い遣り方

私は左手でもお箸を使えます　
これ、プチ自慢
　
数年前に右腕を亀裂骨折した時に、夫に言われました
　
「右手が使えんなら、左手で箸を使えぇや。スプーンじゃあ、見た目が悪かろうが」

「努力します」
スプーンを置いて、左手でお箸を握りました

何日かすると上達して、握り箸を卒業しました

骨折していても、車は私が運転します
これも、プチ自慢

ある時、車の後部座席に荷物があるのに、夫が背もたれを倒してその上に荷物を積みました

シートに挟まった物を取り出そうと、右手で背もたれを起こしながら左手で引っ張りましたが、右手の力が尽きて左手を挟まれました

慌てて引き抜きましたが、手首の骨が折れました

「くぅぅ…」
痛すぎて、言葉になりません

しゃがみこんだ私を見下ろして、夫が言いました
「オレのせいか？」

「いいえ、私の不注意です」
やっと、それだけ言えました

左手を庇いながら、背もたれを起こして荷物を取り出して、夫が積み込んだ荷物を運びました

以後も何度か、転んで指を剥離骨折したり、階段を踏み外して落ちて右足の指を骨折したりしました

運転に差し障る箇所にギプスをしても、車を出す時には、夫は迷わず助手席に座ります

骨折していても、運転するのは私の任務です

出会った人に、どうしてギプスなのに運転するのかと、聞かれたことがあります

「妻は運転が好きだから、楽しみを奪っちゃあ、いけんじゃろ？」
笑顔で説明していました

そういうことかと、私も納得しました

夫には、ケースバイケースという言葉はないようです

何が起こっても、夫の生活は何も変わりません

これが夫の優しさと思い遣り
そう受け止めています

ケガをしないように、気を付けていますが…