家族で、お食事に行きました
　
このお店では、食券を買います
　
うんざりするほどの100円玉が、お財布にありました

「小銭を全部、使っちゃおう！」
ポイポイと、コインの穴に落としていきます

チャリンチャリンと、硬貨の落ちる音がします

20枚以上、入れた時です

「あれ？！」
娘の声

その声に、私の手が止まります

「表示が600円で止まりました」
お婿さんの解説

「試しに、何か押してみる？」

もちろん、入金不足で買えません

「お金を返してもらおうよ」
娘が、釣り銭レバーを押しました

チャリン、チャリン、チャリン…
10数枚、出てきました

「あらら、足りませんね」
お婿さんが言います

店員を呼んで、事情を話していた時です

「もうえぇ！こっちで買う！」
もう１台の機械に、短気な夫がお金を入れました

「はぁ？！」
画面を見ていた夫が、驚いた声を上げました

「どうしました？」
全員が、画面を見ます

「ビールがない！」
怒ったような声です

赤い『売り切れ』の表示が、ビールの写真の上に乗っています

私と娘が顔を見合わせて、ふたりで笑いを堪えます

「申し訳ありません。入荷がなくて売り切れました」

画面と釣り銭が違うことに戸惑っていた店員が、申し訳なさそうに夫に言います


困難な状況を解決ができない店員が、店長を呼びに行きました

店長に、改めて状況を説明しました

「レジ機の業者を呼ぶ」と言う店長と、スッタモンダのやり取りの末に、機械を精算する時に残金と売り上げを比較して、多い金額を返してもらうことを納得させました

横から夫が、店長に言います
「なんで、ビールがないん？」

さっきと同じ疑問を、投げ掛けます

店長は、店員と同じ説明をします

そりゃそうよね
店長が教えてるんだもん
店員が違うこと言うわけないもん

「他に行こう！」
ビールがないと、お食事ができないのです

「ごめんなさい。ビールがないとダメだから、よそに行きます」
お断りを言って、お店を出ました

夫が残って、店員の態度が悪いと、店長に文句を言っていました

「そんな悪い感じじゃなかったけど、何が気に障ったんかねぇ…」
娘が、ポツリと言いました


「ここでいいよね」
折り合ったファミレスでお食事中に、私の携帯が鳴りました

知らない番号です

「もしもし？」

先ほどの店からでした
「2,150円、機械から出てきました」

翌日の午後に、売り上げを精算すると言った人でした

「早急にご対応いただいて、ありがとうございました」
お礼を言いました

「今から、お金を持っていきます」

「え？お食事中なので、明日の午前中に私が取りに伺います」

「いえ！そこまで伺いますから！どこでお食事されていますか？」

仕方ないので、ファミレスの名前を教えました

数分後に駐車場に出て、片手一杯の小銭が入ったビニール袋と、謝罪の言葉を受け取りました

店員の態度は悪くはなかったことを伝えて、それにクレームを付けた夫の態度を詫びて、くれぐれもお叱りにならないようにとお願いをして、店長にお引き取りいただきました

小銭で太って重くなったお財布から、クレカを出してお支払いをしました