やっとです
重たい家電品をトラックに乗せる掛け声が、外に響きます
階段の上り下りのたびに、パタパタとスリッパが鳴ります
「あっつ!」
手伝いの男子が、汗を拭いながら言います
うちの居候がお引っ越ししました
「試験に落ちたので、もうちょっと置いてください」と言われて、7か月居続けました
試験までに1か月あったので、合計8か月、うちで暮らしました
長かったぁ…
昨日の夜、「お礼とお中元です」と、包みをいただきました
「ありがとうございます。よ~く悩んで、選んでくれたのよね」
と言ってみました
「いや、あんまり考えていません」
コーヒーギフトでした
やっぱりかぁ…
間違いなく、そういう子です
8か月もここで暮らしていて、私がインスタントコーヒーを飲んでいるのを見たことないでしょうに…
どうしようか…
悩む頂き物でした
今朝、私が朝食を取っている時に居候が入ってきて、「お食事中にすみません」と言ってきました
「ここに来たときに借りた毛布を、昨日洗濯したから返したいんですが、どこに入れたらいいですか?」と、言います
連日のうだるような暑さの中でも、来た時に貸した毛布を、ずっとベッドに置き続けていました
昨日洗濯したなら、昨日返してくれたらよかったのに、どうして自分のお部屋に、一晩置いたかなぁ…
大好物のニンニク臭がする彼の体臭と、衣類洗剤の芳香成分の入り交じった、何とも例えようのない臭いがします
クリーニングに出すことにして、ビニール袋に入れました
かなり前に、彼の部屋にゴキブリがいました
数日前は、廊下の壁にゴキブリがいました
お部屋には、食べ終わったお菓子の袋や、空いたペットボトルがたくさん置いてありました
飼ってるんです、たぶん…
取りこぼすことなく、連れていってくれることを願います
最後の最後まで、何を考えて生活しているのか掴めない子です
どこにアパートを借りたのか、教えてくれません
押し掛けたりしないのにね
ブゥ~ン…
トラックのエンジン音が、遠ざかります
口うるさいおばちゃんから逃れられる嬉しさが、音に現れているように聞こえるのは、私の気のせいでしょうか
彼がいなくなって嬉しいのは、一番風呂は居候に譲っていたので、入りたいタイミングでお風呂に入れることです