偶然
銀色に光る雨粒が、アテモヤの葉の上に乗っていました
風が葉を揺らすと、コロコロと地面に落ちていきます
水やりの手間が省けて、楽な朝でした
元居候君は、お盆休みに小学生まで育ててくれた、おばあちゃまの家に帰省する予定です
おばあちゃまへの手土産に、和菓子を買いに出ました
そのまま彼のアパートに持って行って、メモと彼の好きな甘い物を入れたビニール袋を、手土産の入った紙袋に入れて、引っ越し先のドアノブにぶら下げました
もし彼が帰宅した時に無くなっていたら、諦める覚悟で置いてきました
車に戻ってドアを閉めたら、携帯が鳴りました
元居候君からでした
「え?私がアパートに行ったのを、どこかから見てました?」と、思わず聞きました
「見てませんけど…。何でですか?」
別の用件で、かけてきたようでした
凄い偶然ねぇ…
ドアノブに掛けたことを、伝えられてラッキーでしたけど…
さっき、帰宅した元居候君から、紙袋があった報告とお礼の電話がありました