「これ、見てん」
ニュースを見せようと、夫が私に携帯を手渡します
　
見ると、画面一面がセピアがかったえび茶色です

「やだ、この色、どうしたの？」
色が気になって、ニュースどころではありません

「いつの間にか、なってた」

「いつから？また、どこか触った？」

「ん？わからん…」

調整しましたが、色味が戻りません

「修理に出さないといけないかなぁ」

「え～？！ゲーム、できんくなる！」

「あ、そ」
気持ち悪い画面のニュースを適当に読んで、携帯を返しました


日曜の夜、私の画面にも同じ症状が出ました

白い部分がえび茶色

『画面変色症候群』は伝染性？

再起動すると、30秒くらいくっきりした画面が出ますが、すぐに変色します

携帯屋さんに行きました

「まだ半年くらいなのに、もう故障？」

いつもの女性店員が「修理ですが、今は代機がないんです」と言います

翌日、古い機種を持って出直しました

店長さんが対応してくれました

「あぁ、この画面は気持ち悪くなりますね」

「そうなの！でも、再起動して立ち上げたらきれいな画面が出るので、故障じゃないと思うんです」

「僕も何かのアプリが干渉していると思いますよ」

インストールしたアプリを１つずつ、店長がアンインストールしていきます

10個消しても変わりません

ゆっくりと様子を見ながら消していた店長が、調子にのってサクサクと消し始めたので、ハンドバッグに目を落とした時でした

「あっ！」
店長が小さく叫びました

携帯を見ると、画面が白く戻っていました

「わっ！戻った！」

「戻りましたけど、何を消したか見ていませんでした…」

アンインストールの一覧を開きます

「こんな絵だったかなぁ？」

それは昼間と夕方と夜に色が変わる、待受け画面のアプリでした

夕焼け色と画面の色味が似ています

「その色だわ！」

他の消したアプリを戻しましたが、変色しません

「もう大丈夫！良かったですねぇ」

「ありがとうございました」
お礼を言って、お店を出ました


子どもにその話をすると、「うちのもよ」と言います

「だから、壊れたと思って機種変したんよ」

「原因は待受け？」

「いいや。Yahoo!ブラウザー」

「え？」

「アンインストールしたら、直ったけぇ」

「お父さまの、それかも！」


夫の携帯のアプリを確認したいのですが、パチスロが忙しいようで、なかなか貸してもらえません

「ほら、オレのせいじゃなかったやろ？」
ゲームから目を離さずに、嬉しそうに言います

「疑って、ごめんなさい」