猛暑の中、なるべく「暑い」と言わないように、心がけています
　
言っても涼しくならないし、会話が広がらなくて楽しくないからです

顔見知りの人に「暑いですね」と言われた時には、「暑いですねぇ。熱中症には気を付けましょうね」と言います

そして、すぐに続けて言います
「急ぎますから、またね」


仲良くしている人に「暑いねぇ」と言われた時には、「暑いね」とは言いません

「融けちゃいそうだね」と返します

すると、相手のお昼間の居場所で、返ってくる言葉が違います

「ほんと、融けそうだよね」と言うのは、スーパーのレジの人

職場と自宅の往復の間の、移動中だけが暑い人です

「半分、融けてるよ」と言ったのは、自動車整備士

店舗はクーラーが効いていますが、工場は汗が滴ります

「俺は、干からびてるよ」と、ゲンナリして言うのは、外仕事の人

休憩時間は服を脱いで寝転んで焼くので、ヒサロでお金を使わなくても、盛り上がった筋肉が見事な赤銅色です

どれも、言葉に生活感が出ています


私が一番笑ったのは、『半分、融けてるよ』

電話での会話だったので、ちょっと食い付いてしまいました

「半分て、どこ？上半分？下半分？右を残して左側とか？あ、わかった！外側を残して、中が融けてるんでしょ！」

「そうそう、仕事には差し支えん」

私の機関銃のような問いかけに、相手の声が笑っています

こういうやり取りが、楽しくて好きです


その言葉を聞いて私が返すのは、自分の生活です

「車の外気温表示は39度だけど、もっと高いと思うの」

「母の日にもらった日傘が、大活躍よ」

「ブルーベリーが熟してくれるから、この陽射しが嬉しいの」

「蚊は暑さが苦手だから、お昼間に外にいても刺されないらしいよ。私がブルーベリーを採る８時頃は30度くらいだから、虫除けスプレーが効かなくて刺されまくりだけどね」

暑さを、違う言葉で伝えるようにしています

そこから、会話が広がっていきます

暑さを楽しんだり、暑さをおもしろがるような言葉を使いたいと思います