夜９時
　
珍しいことに、夫からの電話が鳴ります
　
「あのねぇ、今、高速に乗ったんだけどぉ、何時に着く？」

ブルートゥースで少し反響する声

単身赴任先を出発した夫が、自宅への到着時刻を聞いてきました

「は？何の情報も無しで、到着時刻を予測しろと？」

私は高速道路を使う前に渋滞状況を調べますから、思わずイラッとした口調になりました

「わからんのなら、もぉ、えぇ！」
ブチッと電話を切られました

時速を言ってくれたら大まかな答えは出ますが、それは教えたくないようです

彼の走り方と、夕食を食べていなさそうな状況を勘案すると、３時間は超えるでしょう

「事故がなければ、０時半くらいだと思います」

待ち受け画面に戻った電話に向かって、話しました


それにしても、ムカつく…

すぐ、娘に電話を掛けて、一部始終を話します

「いや、それはさすがに無理やろ」

同意してくれたのですが、最後に言われるのはいつもの言葉です

「それがお父さまなんじゃけぇ、許してあげぇよぉ」

「わかってます！」


私の長年の経験で、ここを出て時速何キロで走れば何分後にはどこのサービスエリアに着くとか、どこのインターチェンジには何キロで走行しないと早すぎて割引適応にならないとかを、予測することはできます

それも、刻々と道路事情が変わるので、ナビの道路工事と事故渋滞状況を参考にして走ります


ちょっと勘がよくて、夫が帰宅する時刻に合わせて、お料理を仕上げるのが得意です

もしかしたら彼は、私に予知能力があると思っているのかしら？