毎日のように犬を乗せて、車で数分の所にある公園に行きます
　
昨日も、マナーウェアを巻いた犬を連れて、公園の中を歩いていました

遠くから見ていたおじいさんが、ヒョコヒョコと近づいてきます

「こんにちは。歩いて来ちゃったの？」

追い付いたおじいさんが、話しかけてきました

普段は男の人を怖がる犬ですが、公園の木の下や道路の臭いを夢中で嗅いでいて、付いてくるおじいさんを気にも止めずにズンズン進んでいきます

「いいえ。ここには車できます」
歩きながら答えました

「ワシも車で来ちょるんよ。今日は寒いねぇ」

「この数日で、めっきり寒くなりましたね」

70歳半ばくらいのおじいさんは、ゆっくり歩きます

仕方なく、おじいさんの世間話に付き合いながら、私も犬もゆっくり歩きました

「犬の名前は、なんて言うんかね？」
「家はどのへんかね？」
「あんたの子どもさんの年は、なんぼかね？」

「ん？」
子どもの年齢から、私の年を推測しようとしています

「上の子どもは、38歳ですよ」

「ワシは、あんたがそのくらいの年かと思うたぁね」
と言いながら、背中に手を回して触ってきました

「いえいえ。大きな孫がいる、おばあさんですよ」
と言いながら、スルリとかわして離れました

良いタイミングで犬がマナーウェアの中にオシッコをしたので、話を止めて新しい物に取り替えました

お散歩に満足した犬が、車に乗りたがってドアの前に立ちます

「帰ろうね～」とドアを開けて、犬を車に乗せました

「はぁ、帰るんかね」と言いながら、おじいさんが右手を出してきました

「はい、犬が帰りたがっていますから」
握手かと思って、その手を軽く握りました

おじいさんは私の手を握ると、グイッと自分の方へ引っ張りました

引っ張られた私は、おじいさんに急接近してしまいました

おじいさんが顔を近づけてきます

慌てて顔を背けた直後に、髪の毛と耳に唇が当たりました

後退りして体を離しながら、手を振りほどきました

おじいさんが何か言いかけた時に、３人組のおじいさんが近付いてきました

おじいさんがしたことを、離れた所から見ていたはずですが…

「こんにちはぁ」

おじいさんに向かって、３人が親しげに話しかけています

その隙にササッと車に乗って、出口に向かって車を出します

ルームミラーを確かめると、おじいさんがこちらを見て立っています

「気持ち悪っ！エロジジィ！」

公園から離れた所で車を停めて、積んである除菌シートで、何度もゴシゴシと髪の毛と耳を拭きました

油断大敵！

どんなにご高齢でも、どんなに人目のある場所でも、男性といる時に気を抜いてはいけないことを学びました