お酒の名前
60代前半  山口県
2019/06/03 12:46
お酒の名前
採れた梅は、4.5kg
 
一晩、水に浸けました
 
一人で梅のヘタ取りをしていましたが、夫が携帯のゲームで遊んでいるので、手伝ってもらうことにしました

「ゲームは面白いでしょうけど、去年の10kgは全部私だけでやったんだから、今年は共同作業にしませんか?」

「あ~、はいはい」

携帯を置いて、横に立ってくれました

キッチンペーパーで水気を拭き取ってもらったので、私はヘタ取りに専念できて、今年は早く終わりました


梅ジュースを作る予定でビンを熱湯で消毒しながら、ふっとひらめいて聞いてみました

「全部、梅酒にしましょうか?」

「おっ!良いねぇ」
携帯を持ちながら乗ってきました

「それなら、ホワイトリカーを買いに行かなくちゃ」

「今から?」
座りながら聞きます

「はい、今から」と、キッパリ言いました

「はい、はい」と立ち上がりました

お酒のためなら、フットワークの良い夫です


業務スーパーで、4種類のホワイトリカーをショッピングカートに乗せました

「おっ!?」

焼酎コーナーでショッピングカートを押す夫が見つけたボトルは、『お前はもう死んでいる』と、『我が生涯に一片の悔い無し』

ケンシロウの顔と台詞、ラオウの顔と台詞が描いてある、一升瓶と720mlの芋焼酎がありました

「やらかして凹んでる部下に、あげようかな」と、ラオウのボトルを握ります

「なら、ケンシロウの方がいいね」

「なんで?」

「『ラオウの台詞は、やらかした人生を認めちゃうみたいだけど、『お前はもう死んでいる』なら生まれ変われる気がするもん」

「そうかなぁ」

「それに、ラオウよりケンシロウの方が嬉しいんじゃない?」

「それは、そうだなぁ」

「自分で払ってね」

「えぇ~?」

「サイフはもう死んでいる?」

返事は聞かずにレジに行って、夫に自分のお財布を開けさせて『死んでいる』の代金を払わせて、私はホワイトリカー代を払いました


帰宅してすぐ、梅酒作り

梅と氷砂糖を交互に入れると、夫がホワイトリカーを注ぎます

「空の容器はビンの上に置いてくださいね」

「何で?」

「その容器から、品名と原材料の箇所を切り抜いて、蓋に貼るの」

「種類が分かるように?」

「そ、そ!あ!梅酒に名前を付けようか!
『ムダな会議漬け』とか、『パワハラ上司め』とか、どう?」

「アホか」

名付けは、却下


「美味しくなぁれ」とビンを回す日々が始まりました
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