初コンビニスイーツ
60代前半  山口県
2020/01/09 13:04
初コンビニスイーツ
「良いこと、閃いたんよ~!」

娘が私に使う、娘に都合のいい魔法の言葉です
 
娘が閃いて私にこの言葉を言ってくる時は、私に何かをさせたいことが多いのです

「何も閃かなくて良いから!」と、いつも丁重にお断りすることにしていますが、結局は娘の閃きを聞いて願いを叶えることになります


昨年の12月半ばから、「プレゼントはあげるけど、今年のクリスマス会はしなくていいんじゃない?」と、やんわりと断り続けました

娘は集いたいらしく、「いつにする?」と言ってきます

「やめる気ないんだ…」

夫が帰省した翌日の28日の夜に決めて、クリスマス会の準備しました

クリスマスケーキは、注文できません

最悪の場合は適当なホールケーキで間に合わせることもできますが、クリスマスの飾り付けはありません

ケーキはどうしようかと考えながら、何日も過ごしました


終業式の日に、孫がインフルエンザに罹かったと連絡がきました

「私達も保菌者かもしれないけど、クリスマス会はどうする?」と、娘が聞いてきます

「どうする?」は、やりたい意思表示です

娘の粘り勝ちで、お婿さんと飼い犬がうちに来て、クリスマス会をすることにしました

「ほんとにするの?」と、夫が不満顔です

「だって、『インフルエンザだから止める』って言わないんだもん。プレゼント交換がしたいんじゃない?」

孫に会いたい夫には残年なクリスマス会を、大人4人ですることになりました


28日のお昼前

お墓参りを済ませて家に向けて運転しながら、思わず言ってしまいました

「良いこと、閃いた!」

魔法の言葉を呟いた途端に、夫が隣で笑います

「親子だねぇ」

誰かに振りたい話ではないので、無視して続けました

「今年のクリスマス会は、ローソンのスイーツにする!」

「何それ?」

コンビニスイーツは、まだ食べたことがありません

こんなチャンスは、もうないかもしれません

寄り道したローソンの、スイーツコーナーで悩みます

お婿さんはモンブランが「好き」だったのか、「嫌い」だったのか…

何かの時に娘から聞いた気はするけど、ぼんやり生きている私には肝心な所が思い出せません

夫はモンブラン好きなので、「まぁ、何とかなるでしょ」と、スノーバスチーとダブルモンブランを5個ずつ買って帰りました

「これなら、インフルちゃんにも持って帰れるでしょ」

「いいんじゃない?」

モンブラン好きが賛成しました


6時に孫抜きの家族が揃ったので、食事の前にプレゼント交換を宣言しました

いつもなら食後なので、イレギュラーな段取りにコートを脱いでいた娘が面食らいます

「ちょっと待ってよ。今から?!」

「そ!」

ワイワイと、プレゼント交換をしました

食後に飲み物の準備をして、カップケーキをポイポイと並べます

「あ!スノーバスチー!」と、娘が喜びます

「スノーバスチーって何?」と、お婿さんが面食らっています

「わしも、知らん…」と言う夫は、付いていたプラスチックスプーンで掬いながら、あっという間に食べ終えてしまいました

「モンブラン、食べれる?」と、娘がお婿さんの顔を覗き込みます

「あんまり甘くなかったら…」と、お婿さんがしんみり答えました

「これ、下の方がぶち甘いぞ!」と、モンブランに取りかかった夫が悶えながら言いました

「え?」

バスチーを食べていたお婿さんの手が止まります

「あ、好きじゃなかった?ごめんね~!」と、謝りました

お婿さんの忘れられないリアクションで、もう買い間違えることはないと思います
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