初コンビニスイーツ
「良いこと、閃いたんよ~!」
娘が私に使う、娘に都合のいい魔法の言葉です
娘が閃いて私にこの言葉を言ってくる時は、私に何かをさせたいことが多いのです
「何も閃かなくて良いから!」と、いつも丁重にお断りすることにしていますが、結局は娘の閃きを聞いて願いを叶えることになります
昨年の12月半ばから、「プレゼントはあげるけど、今年のクリスマス会はしなくていいんじゃない?」と、やんわりと断り続けました
娘は集いたいらしく、「いつにする?」と言ってきます
「やめる気ないんだ…」
夫が帰省した翌日の28日の夜に決めて、クリスマス会の準備しました
クリスマスケーキは、注文できません
最悪の場合は適当なホールケーキで間に合わせることもできますが、クリスマスの飾り付けはありません
ケーキはどうしようかと考えながら、何日も過ごしました
終業式の日に、孫がインフルエンザに罹かったと連絡がきました
「私達も保菌者かもしれないけど、クリスマス会はどうする?」と、娘が聞いてきます
「どうする?」は、やりたい意思表示です
娘の粘り勝ちで、お婿さんと飼い犬がうちに来て、クリスマス会をすることにしました
「ほんとにするの?」と、夫が不満顔です
「だって、『インフルエンザだから止める』って言わないんだもん。プレゼント交換がしたいんじゃない?」
孫に会いたい夫には残年なクリスマス会を、大人4人ですることになりました
28日のお昼前
お墓参りを済ませて家に向けて運転しながら、思わず言ってしまいました
「良いこと、閃いた!」
魔法の言葉を呟いた途端に、夫が隣で笑います
「親子だねぇ」
誰かに振りたい話ではないので、無視して続けました
「今年のクリスマス会は、ローソンのスイーツにする!」
「何それ?」
コンビニスイーツは、まだ食べたことがありません
こんなチャンスは、もうないかもしれません
寄り道したローソンの、スイーツコーナーで悩みます
お婿さんはモンブランが「好き」だったのか、「嫌い」だったのか…
何かの時に娘から聞いた気はするけど、ぼんやり生きている私には肝心な所が思い出せません
夫はモンブラン好きなので、「まぁ、何とかなるでしょ」と、スノーバスチーとダブルモンブランを5個ずつ買って帰りました
「これなら、インフルちゃんにも持って帰れるでしょ」
「いいんじゃない?」
モンブラン好きが賛成しました
6時に孫抜きの家族が揃ったので、食事の前にプレゼント交換を宣言しました
いつもなら食後なので、イレギュラーな段取りにコートを脱いでいた娘が面食らいます
「ちょっと待ってよ。今から?!」
「そ!」
ワイワイと、プレゼント交換をしました
食後に飲み物の準備をして、カップケーキをポイポイと並べます
「あ!スノーバスチー!」と、娘が喜びます
「スノーバスチーって何?」と、お婿さんが面食らっています
「わしも、知らん…」と言う夫は、付いていたプラスチックスプーンで掬いながら、あっという間に食べ終えてしまいました
「モンブラン、食べれる?」と、娘がお婿さんの顔を覗き込みます
「あんまり甘くなかったら…」と、お婿さんがしんみり答えました
「これ、下の方がぶち甘いぞ!」と、モンブランに取りかかった夫が悶えながら言いました
「え?」
バスチーを食べていたお婿さんの手が止まります
「あ、好きじゃなかった?ごめんね~!」と、謝りました
お婿さんの忘れられないリアクションで、もう買い間違えることはないと思います