丑三つ時
深夜1時過ぎ
ガサゴソッ、ブルブルブルッ!
犬が目覚めて体を振るわせたら、徘徊が始る合図です
リビングにある犬の寝床の横に置いた、私のベッドの側をクルクル回りながら行ったり来たりします
カッシャ、カシャ、カシャ、カシャッ
爪が床に当たる音が、不規則に絶え間なく鳴り続けます
ドンッ!ガシャガシャン!
時々よろめいて、ガラス戸に体が当たって大きな音を立てますが、体勢を立て直して歩き続けます
1時間くらいで疲れて座りこんで、そのまま寝てくれる時もありますが、日によっては2時間くらい歩き回ります
これを、夜明けまで2~3回繰り返します
今日はどれくらい歩くんだろう…
眠気に勝てずに、うとうとしながら足音を聞いていました
ん?!臭い!
飛び起きて、明りを点けます
黒い小さな塊が、床に点々と落ちています
わっ!
犬が来ようとするのを片手で制止しながら、全部の糞をティッシュペーパーで覆います
ゴミ袋を取りに、お台所のガラス戸を開けました
私より先に行こうとする犬が、私の足を踏んでジャンプします
踏むな!痛いじゃん!
急いで戻ってビニール手袋をして、ゴミ袋に糞を入れます
次に床に除菌スプレーを振り掛けて、キッチンペーパーでゴシゴシ拭いたら、それもゴミ袋に入れて袋の口を結びます
くさい~っ!
場所も時間もお構いなしに出すって、どうなのよ!こんな年寄りは嫌われるよ!
テーブルの回りをクルクルしている犬は、聞く耳もお水を飲む気もありません
嫌な予感がして、犬をグシッと捕まえて抱き寄せて、お腹に巻いてあるマナーウェアを触ります
異様な暖かさで、もったりと膨らんでいます
オシッコも出てるし!
イスに置いてある手提げ袋から、新しいマナーウェアと赤ちゃん用お尻拭きを取り出します
オシッコを吸ったマナーウェアを、ペリッと剥がします
お腹回りをゴシゴシと、除菌ペーパーのお尻拭きで擦ります
綺麗にしないと、カブレちゃうからね!
新しいマナーウェアを、お腹に巻き付けます
またゴミ袋を持ってきて、重たいマナーウェアを入れて口をしっかり結びます
ふと時計を見ると、午前2時半
もう、丑三つ時じゃん!
この時間には、外に出たくありません
差し掛けに繋がるお台所の窓を、カラカラと開けます
ポイ、ポイッ!
明日の朝の散歩の時に、ゴミ箱に捨てようっと!
窓の真下にあるノーマルタイヤの上に、ビニール袋を2つ落として、殺菌消毒の石鹸で手をゴシゴシ洗います
テーブルの回りをグルグルしていた犬は、寒さに負けたのか、トコトコと自分の寝床へ戻っています
臭いなぁ…
ガラス戸を閉めずに、お台所の空気清浄機をフル回転させようかと悩みましたが、リビングの暖気が逃げそうで止めました
ガラガラと戸を閉める音も聞こえないかのように、犬が寝落ちしています
朝まで起きないでね
犬に声を掛けながら、ベッドに横になります
こんな夜は、枕に顔を埋めて泣きたくなります