粘り強い二人
60代前半  山口県
2020/01/27 21:19
粘り強い二人
お買い物を済ませて、駐車場に戻りました
 
出口には、精算機に駐車券を差し込んでいる車がいました
 
もう1台がゆっくり進んで、後ろに並ぼうとしています

(無料時間が過ぎちゃったかな?)

車に乗って、駐車券の時刻を確認します

無料の時間は、2分後までです

(やった!間に合うじゃん!)

3台目に並びましたが、先頭車が動く気配がありません

(あれ?)

先頭車か精算機に差し込んだ駐車券を、精算機がペロンと吐き出しています

出てきた駐車券を、また差し込んでいます

その動作が、延々と繰り返されているのです

(わっ!もう間に合わないじゃん!)

後ろに車がいなかったので、精算機の近くの駐車スペースに車を動かしました

駐車料金を倹約するために、店内に小走りで戻ります

チラッと見ると、先頭車はご高齢の男性でした


すごい勢いでお店に突進してくる私を見て、店員さんが怪訝な顔をします

「さっきのお買い物で、無料駐車券を貰えますか?」

息がきれてハァハァしながら、店員さんにお願いします

「走って来ちゃったんです?差し上げますから、お待ちくださいね」

「おじいちゃんの車の精算がなかなか終わらなくて、並んでる間に無料の時間が終わっちゃいました」

ハンコを押された1時間無料券を受け取って、歩いて駐車場に戻ります

(さすがに、もう行っちゃったよね?)

出口を見ると、まだおじいちゃんの車がいます

(まだいるよ!)

ペロンと出てくる駐車券を、懲りもせずに精算機に差し込んでいます

機械は無機質に突き返すだけで、融通を効かせて正しい精算方法を教えてはくれません

ご老人の様子を見に行こうと、精算機に向かって歩き始めた時です

後ろに並んでいた車から男性運転手が降りて、何か話をするわけでもなく、おじいちゃんの手から駐車券を取って精算機に突っ込みました

バーがサクッと上がりました

(えっ?)

運転手が背を向けて車に戻る間に、ご老人の車は発進しました

意外とあっさり片付きました

私が車を動かし始める頃には、精算機周りにはもう誰もいません


先頭車のご老人は、どうして車を降りて助けを求めなかったのかしら

意地?それともプライド?

先頭車のご老人の根気強さと、2台目の運転手の我慢強さに驚きました
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