たまたま寄ったお店に、除菌スプレーが何本もありました
　
「買えば？」と、夫が言います
　
「え？」

眺めていた私の横から手が伸びて、１本持って行かれました

「ほらぁ、買えば？」と、催促されます

帰宅してからの除菌ソープの手洗いだけで、私は足りてると思うんだけど…

「事務所に無いの？」と、聞いてみました

「あるに決まってるでしょ！」と、当たり前なことを聞くなと言わんばかりの返事です

「ストックは？」

「知らん」

要らないなぁと他の売り場に進む私の背中に、「買わないの？」と、夫の声が追いかけてきます

「要るなら買えば？」

「犬がいるから、要るんじゃないかと思ったんだよ」

「あなたが欲しいんでしょ？」

仕方なく買い物カゴに入れた除菌スプレーが、ゴロゴロ転がって存在感を出します

「すっごく重いわ」と、横を歩く夫にカゴを渡しました


除菌スプレーは、夫が袋から出して玄関に置きました

（ドアノブを触る前に除菌スプレーを使いたいから、置くなら外よね）

見なかったことにして、そのまま放置

昼食の後で、「また来週末に帰るね～」と言いながら、夫が玄関を開けました

見ると、おかずをいろいろ入れた袋に、ちゃっかり除菌スプレーを入れています

「やっぱり、自分が欲しかったんじゃん！」

「使わなそうだから、有効活用するね～」

「はぁ？支払いの半分以上がスプレー代なんだから、レシートを渡すから経費請求してよ！」

「善意の寄付～」と、お気楽な逃げ口上が返ってきます

「はぁ？寄付は善意に決まってるじゃん！善意とか、ないから！」

文句を言っている途中で、にやっと腹の立つ笑い顔でドアを閉めました

お見送りを止めようかと思いましたが、事故に合ったりされると後悔すると思い直して、追いかけて外に出ました

「行ってらっしゃいませ」と、車に乗り込む夫に声をかけました

「またねぇ～」と、車内から手を振られました


上機嫌なのは、事務所用のストックを手に入れたからかしら？

代金は来月の生活費から引いちゃいます