不登校だった17歳の女の子に、お勉強を教えています
　

「いつも、緑色のを選んでしまう」　
犬用の３色ビスケットの、緑色をつまんで犬にあげながら言います

「どうして？」と聞くと
「母性本能」と、答えたので、大笑いしました

「母性本能とは違うと思うけど？」
「え？…母性本能って、なに？」
母性本能の説明をしました

「あ！そしたら…本能！」
「母性を省いてみたの？それも違うけど」と、また笑わせてもらいました
「本能って、なに？」と言います

「今度は、自分で調べなさいね」
携帯の辞書を使って、意味を調べるように言いました

「本能って打ったら、『本能寺の変』て出てきたけど、『変』てなに？」

「それ、全然違う。今度教えるから、『本能』の所を探して」

「あ、あった！えっとね…、ごてんまと…？ごてんてき？ごあまてき？うしろてんまと？」

言いたいことが、わかりました
「後天的！」
「なにそれ？」
いつまで経っても、話が進みません

やっと本能について説明して、緑色を選ぶのは本能ではないことを説明しました

それでも母性本能にこだわるので、いろいろ説明していたら、少し前に見た『トイレのピエタ』の話になりました

その映画は、RADWIMPSのボーカルが主人公でした
その話の流れから、『君の名は。』を見たいと言い出しました

映画館に行ったことが、数回しかないそうです

私も見たいとは思っていましたが、テレビで放映されるまで待つつもりでした

映画館が苦手になって、もう10年近く行っていません
勇気を奮って、行ってみようかなぁ…


「上映期間と上映時間と料金が調べられたら、一緒に見に行きましょう」と言いました

「見方がわからん～！意味がわからん～」と言いながら検索を繰り返していました
お！行かなくて済むかも？

「たぶん、これ！」なんとか見つけ出しました
あ～、見つけちゃったし、最終上映に間に合うし…

覚悟を決めました
彼女のお父さんに連絡して許可をもらって、映画館へ行きました

知り合いの男子高校生を見つけて、手を振りました
「今日で５回目ですよ」と、にこやかに言います
さすが、RADWIMPS信者ね

largeの飲み物と、largeのポップコーンを買って入りました


言葉のない画面に、RADWIMPSの歌声が台詞のように重なります
聞き入ってしまいました

壮大な風景が、クリアで繊細に描かれていました

複雑なストーリーでした
ハッピーエンドを信じて、スクリーンを見つめました

見終わって出る時に、感想を聞いてみました
「すごい良かった！きれいだったね」と、嬉しそうに言いました
「でも、途中からお腹が痛かった」

集中できなかったのね…
何かにつけて、残念な子です


映画館で見るのはいいわね

余韻に浸りながら…
彼女を送って、帰りました