ボケ防止
「おばちゃん、ズボンが破れたんやけど、手で縫いにくいけぇ、ミシンで縫ってもらえる?」
自分の身の回りのことは、自分でしている男の子が言います
彼の母親は、彼が中学生の時に亡くなっています
「いいわよ。持っていらっしゃい」
翌日の午後、遠慮しながら1本持ってきました
「どう履いたら、ここまで破れるの?」
ファスナーの脇から股下を通り過ぎて、腰までパックリと破れた作業ズボンは、右足と左足が辛うじてウエストで繋がっていました
彼が自分で縫った糸が、数か所残っています
「直せるん?」
「直せるわよ」
「そしたら、明日また、もう2枚持ってくる!」
「それまでに、仕上げておくわね」
翌日の朝、花火の余韻に浸りながら、カタカタとミシンをかけました
ミシン目が元通りに見えるように、気を付けて針穴を重ねて縫いました
取りに来た男の子が、ズボンをもう2本渡してきました
「え?全く同じに破れてる…」
「あのさぁ、こうやって跨ぐやん、その時に…」
「もういい、もういい」
話を途中で遮って、修繕したズボンを渡しました
受け取ったズボンの、縫い直した所を広げて見て、目を見張ります
「すげぇ綺麗に縫っちゃる!おばちゃんのミシン、すげぇね!」
「はぁん?!技術あってこその、機械でしょ!」
「あ、あ、あ~!それを言おうと思ったんよ!」
大慌てで言い訳をします
「すごいミシンを貸すから、この2本は自分で縫いなさい」
「えぇ?!いやいやいや、ほんと勘弁してぇや~」
その横で、やり取りを聞いていた孫が、シレッと言いました
「ばばちゃま、ミシン出してるの?私のTシャツの袖が長いんだけど、上げてくれる?」
「出てるわよ。いつでもいいから、持っていらっしゃいね」
「ありがと!後で持ってくる~」
みんなから頼りにされている間は、呆けないかな
コメント
2016/09/21 12:26
2. >>1 ビスケット@PRボイス始めましたさん
こんにちは
ありがとうございます
嬉しいです
全く同じに仕上げるって、案外と難しいのよ(^^)v
返コメ
2016/09/21 12:11
1. なんかいい!
確かに技術あってのミシンだよね。
俺の母親も洋裁学校に行ってたらしくミシンの腕は凄いよ。
だから分かるし尊敬する!
返コメ