夜爪を切る
60代前半  山口県
2016/11/16 11:58
夜爪を切る
深夜のお風呂上がりに、手足の爪を切ります
 
パチンパチンと鳴る、爪切り
 
爪切りの中に切った爪が入るので、20年くらい前からは爪が飛び散らなくなりましたが、昔は大きく新聞紙を広げた上で切りました

親の足の爪は固くて切りにくくて、力が足りない小学生の頃の私が、爪切りを握り込んでもパチンと鳴らなくて苦労しました

切った爪が、案外と遠くまで飛んだことに気付かないと、片付けを怠ったと後から親に叱られるので、切った爪が飛ぶとその辺りの畳を撫でて探しました

仕上げにきれいにヤスリを掛けて、「まだ、ここが長い」と言われなかったら、やっと解放される嫌なお仕事でした


耳掃除も同様に、私の仕事でした
「痛い!」と言われないように、細心の注意を払ったものです


切った爪が飛ばない爪切りが出たころから、親とは別に生活しています


ずっとむかし、いつごろだったか…
『夜爪を切ると親の死に目に会えない』と、祖母から教わりました

「どうして?」
「さぁね~。いけんて言われたことは、やっちゃあいけんの」
「ふぅん…」

いろいろなことを教えてくれる祖母は、その理由を知らなくて、いつも「いけんことは…」で納得させられていました


①昔は明りがの発達していなかったので、薄暗い部屋で小刀等で爪を切ると、誤って怪我をしたらそれが元で親より先に(破傷風等の)病気で死ぬことになる説

②夜爪(よづめ)は世詰めと音が同じなので、世詰めとは死を意味していて、飛んだ爪が囲炉裏に入ると嫌な悪臭がすることで、死を呼んでしまうイコール自分が親より先に死ぬことを意味する説

③妖怪や魔物が動く夜に刃先を自分に向けると、悪霊を呼んでしまうので良くないことが起こる説


言い伝えは、守るためにあるのだとわかっています
迷信では片付けられないことが、起こることもあるからです

それでも私は、いろいろな考え事をしながら夜に爪を切ります


おばあちゃんは、あきれてるかな
言うことを聞かない孫で、ごめんなさい
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