日本語の喋れない家族
60代前半  山口県
2016/11/19 12:43
日本語の喋れない家族
明け方の雷は、眠りについて間もなくでした
 
ドド~ン! 
音で目は覚めましたが、身体はベッドに沈み混んだように動きません

そのまま寝そうになった時に、またゴロゴロ、ゴロゴロ~!

あぁ…
ワンコが生きた心地がしなくて、ケージの中で震えている様子が浮かびます

えいっ!
起きて、ベッドを出ます


階段の途中まで降りると、下でワンコが尻尾を振ってお座りしているのが目に入ります

「怖かったね。もう大丈夫だから、ねんねしようね」
階段に腰かけて、話しかけました

私の傍に寄ってきますが、くっつくのはプライドが許さないようです

「ビックリしただけだもん」
そう言いたげに、少し離れた手の届く場所に座りました

ゴロゴロゴロゴロ~

ワンコが近寄って、少し距離が縮まります

「怖いんでしょ?付いててあげるから、お布団でねんねしなさい」

とぼとぼと自分の座椅子に行って、丸まります

撫でていると、寝落ちしそうになっては顔を上げます
ゴロゴロと、雷が遠くでなります

「怖い、来ない」
頭を撫で続けます
「怖い、ない。大丈夫」
繰り返すと、ワンコが目を閉じます

しばらく撫でて、落ち着いたようなので言いました
「おかあさまはお部屋に戻りますね」
パッと目を見開いて、私を見ます

階段を上がろうとすると、ワンコが付いてきます

甘やかすと、きりがありません
そのまま、お2階に上がりました

ワンコは階段に足を上げませんから、お2階には上がれません
怖い時はケージに入って、やり過ごすしかありません

「ゴロゴロは遠いわよ。怖いはないのよ。おやすみなさい」
2語文は理解できますから、言っていることは伝わっています

「おかあさまは、いてくれない」
そう理解したワンコは、座椅子を出てケージに入ってお座りしました

階段を上がりながら「怖い、来ないからね」声をかけて、ベッドに戻りました


朝、降りてみると、座椅子に丸まって寝ていました
「おはよう。夜中のゴロゴロ、怖いだったね」

ん?
寝ぼけて、私を見ています

「おはようは?」
ん~!
伸びをして、私の所に頭を撫でさせにきました

「おはよう!」
頭を、よしよしします

「はいっ!任務完了~」
とでも言いたげに、座椅子に戻って丸まりました


まだ、11歳
うちの子になって、もう11年

老々介護が始まるのは、そう遠くない気がします
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