日本語の喋れない家族
明け方の雷は、眠りについて間もなくでした
ドド~ン!
音で目は覚めましたが、身体はベッドに沈み混んだように動きません
そのまま寝そうになった時に、またゴロゴロ、ゴロゴロ~!
あぁ…
ワンコが生きた心地がしなくて、ケージの中で震えている様子が浮かびます
えいっ!
起きて、ベッドを出ます
階段の途中まで降りると、下でワンコが尻尾を振ってお座りしているのが目に入ります
「怖かったね。もう大丈夫だから、ねんねしようね」
階段に腰かけて、話しかけました
私の傍に寄ってきますが、くっつくのはプライドが許さないようです
「ビックリしただけだもん」
そう言いたげに、少し離れた手の届く場所に座りました
ゴロゴロゴロゴロ~
ワンコが近寄って、少し距離が縮まります
「怖いんでしょ?付いててあげるから、お布団でねんねしなさい」
とぼとぼと自分の座椅子に行って、丸まります
撫でていると、寝落ちしそうになっては顔を上げます
ゴロゴロと、雷が遠くでなります
「怖い、来ない」
頭を撫で続けます
「怖い、ない。大丈夫」
繰り返すと、ワンコが目を閉じます
しばらく撫でて、落ち着いたようなので言いました
「おかあさまはお部屋に戻りますね」
パッと目を見開いて、私を見ます
階段を上がろうとすると、ワンコが付いてきます
甘やかすと、きりがありません
そのまま、お2階に上がりました
ワンコは階段に足を上げませんから、お2階には上がれません
怖い時はケージに入って、やり過ごすしかありません
「ゴロゴロは遠いわよ。怖いはないのよ。おやすみなさい」
2語文は理解できますから、言っていることは伝わっています
「おかあさまは、いてくれない」
そう理解したワンコは、座椅子を出てケージに入ってお座りしました
階段を上がりながら「怖い、来ないからね」声をかけて、ベッドに戻りました
朝、降りてみると、座椅子に丸まって寝ていました
「おはよう。夜中のゴロゴロ、怖いだったね」
ん?
寝ぼけて、私を見ています
「おはようは?」
ん~!
伸びをして、私の所に頭を撫でさせにきました
「おはよう!」
頭を、よしよしします
「はいっ!任務完了~」
とでも言いたげに、座椅子に戻って丸まりました
まだ、11歳
うちの子になって、もう11年
老々介護が始まるのは、そう遠くない気がします