郵便局の機械で、引き落としされる金額分の入金を、しようとした時のことです
　
チャリン、チャリン…　
紙幣を入れながら、同じ手に握っていた硬貨も、そこに落としてしまいました

手に残った硬貨を数えると、170円足りません

あ～、やっちゃった
でも、大丈夫
下の返却口に落ちてるから…

そう思って、蓋を持ち上げて覗きました

あれ？
ない…
どうして？

紙幣を入れる所を、覗き込みました
やっぱり、ありません

局員さんを呼びました

「少しお待ちくださいね」
機械を開けると、途中に硬貨が何枚も詰まっています

「これですね？」
ガチャガチャと取り出して、機械を閉めてから振り向いた局員さんの手の中には…

500円玉が７枚
100円玉が１枚
50円玉が１枚
10円玉が２枚

一瞬、イソップ童話の『金の斤』を思い出しました

だめだめ！
正直でいなければ！

「私が落としたのは、170円です」

「え？じゃあ、別の人が紙幣の入金口に、これを落としちゃったんでしょうね」

「たぶん、そうだと思います」

「そうですか…」
局員さんは500円玉を握って、郵便局の中に戻って行きました

3,500円…
何日分の、おかず代かしら
かわいそうに…

そう思いながら、今度は落とさないように気を付けて入金しました


小銭を落としたせいで、余計な時間がかかりました
急いで帰らないと、次の用事が待っています

全部の用事を済ませて帰ったら、同級生が時間潰しに寄ったので、郵便局での出来事を話しました

「貰っとけば良かったのに」
と、笑いながら言った後で、つまらなそうに言いました

「何で、そう毎日、いろいろ起こるんだ？オレは、ずっと平々凡々の人生で、そんなことは何も起こらないよ」

私は、しょっちゅう、巻き込み事故的なハプニングが起こります

みんな同じような生活だと思っていましたけど、どうやら違うようです

これは、宿命かなぁ