「グラコロ、始まったら食べたいわぁ」　
そう言うと、居候君も乗ってきます
　
「オレも行きたいと思ってました」
「やっぱり～？」
「14日が、待ち遠しいです」

そんな会話を、数日前にしました


お昼前に出先から帰ってきた居候君が、悩んでいます

「お昼にグラコロを食べたいけど、クリームシチューを作ろうと思ってお肉を買ったし…」

「シチューは晩ご飯で、グラコロはランチ？」
そう言いましたが、返事がありません

どうしたのかと思ったら、居候君は１人外食に慣れてないと言い出しました

「最近は、来来亭なら１人で食べれるようになりましたけど…」

あらま…
私は、どこでも１人で出掛けます

人間観察しながら、のんびり食べます


「一緒に行ってもらえませんか？」
居候君が、頼んできました
「いいわよ」

車の中で、聞いてきます
「やっぱり、店内で食べた方が美味しいですよね」
「作りたてで、バンズがしっかりしてるから？」
「はい」

店内で食べることになりました


マクドナルドの駐車場で、私の隣の車から80歳くらいのご高齢のご夫婦が降りました

とことこと、ドライブスルーの機械の前に行きます
注文方法がわからなくて、機械の横のメニューを眺めて困っています

ドライブスルーの機械の横には『ご注文はこちら』と書いてあります
勘違いしているようです

「ここは、車に乗ったままの人が注文する所です。ご注文は店内ですよ」

「どんな所か、来てみた」
と、おじいちゃんが話しかけてきます

「そうですか。お店の入り口は、あちらです」
入り口を教えて、私達が先を歩きました


後ろで話し声がします
「おじいちゃん！ここじゃないといけんの？」
おばあちゃんは、ご機嫌が悪いようです

「コーヒー飲んで帰ろう」
おじいちゃんが誘います

店内では、おじいちゃんが私達の後ろに並んで、レジの順番を待ちます

私達の順番が来たのですが、おじいちゃんに譲って注文を見守りました

「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか？」
「これは何かね？」
「それは、ナゲットです」
「ナゲットっちゃあ、何かね？」
「鶏肉の揚げたのです」
「いらん」

「これは何かね？」
「ハンバーガーです」
「ハンバーガーっちゃあ、何かね？」
「パンにいろいろ挟んであります」
「２つ」

「これは何かね？」
「コーンスープです」
「２つ」

「飲み物は、どうしますか？」
「コーヒー」
「ホットですか？アイスですか？あ…、暖かいのですか？冷たいのですか？」
「アイス２つ」
「他には、よろしいですか？」
「どんな所か、見に来た」
「ご注文はお席にお持ちします」

少し空回りの会話を、笑いをこらえて見守りました

無事にお支払いを終えたおじいちゃんに、こちらがホッとしました

客席をみると、つまらなそうに座っている、小さなおばあちゃんの背中がありました