春の味
60代前半  山口県
2017/04/08 12:24
春の味
雨上がりのお昼前

近所の空き地まで、犬の散歩で歩きました

空き地の突き当たりには、毎年、ツクシとワラビが生えていました

それが去年、きれいに整地されて薄茶色の土が盛られました

お家が建つのかと思いましたが、その気配がありません

周りのお家の人達が、駐車場のように勝手に使い始めました


ワラビ、出てるかなぁ…
整地されたから、埋もれちゃったかなぁ…

隅っこだから車に踏まれることもないし、犬が足を上げることもありません

「行ってみようか!」
ワンコと奥まで入ってみました

ワラビ、あった!
ん?
ツクシも生えてる!

雨後の竹の子ならぬ、雨後の土筆です
雨に感謝です

ワンコには初めての場所なので、地面を嗅いでリードをグイグイ引っ張ります


先の開いてないのを、片手に山盛り採りました

お台所でハカマを取りながら、祖母と採りに行った時のことを、懐かしく思い出します

70歳前後の祖母と、転校したての高校1年生は、いろいろな所に歩いて行きました

都会育ちが、地元の子どもより裏道に詳しくなりました

糀屋さん、傘屋さん、卵屋さん
貝掘りや、伽羅蕗や野ブドウ採り

いま思えば、不登校ぎみの都会っ子を、よくお守りしてくれました


思い出に浸りながら手を動かしていると、あっという間にハカマを取り終わりました

小さなお鍋にお湯をわかして、タンサンを少し入れて茹でます

一瞬で穂が緑色になって、お湯の色が変わります
すぐに、ザルに上げて水気を切ります

お醤油とお酒を煮きって、お砂糖とおダシを入れて煮ます

そういえば、シジミ採りにも行ったっけ…
あそこの景色も、変わっちゃったかなぁ
明日は、空き地のワラビを採って煮ようかな…

思い出を手繰りながら2~3分煮て、少量の溶き卵を回し入れて、蒸らして出来上がり

あっという間に、小鉢1杯分のツクシの玉子とじの完成です


早速、お昼ご飯にいただきました
ホロッと苦く、穂が口の中で香ります

あぁ、こんな味だった…

あのころは、「苦いからいらない!」って、食べなかったっけ…

あ~、もう1回会いたいなぁ…
そしたら、「おいしい!」って言うのになぁ


思い出の中の祖母の笑顔が、私の顔を覗き込みます

あの春が、戻ってきたようでした
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コメント

60代前半  山口県

2017/04/12 9:15

2.  >>1 修治さん
こんにちは

誰でもみんな、思い出の中の人と生きる瞬間があると思います

環境が変わってしまって、同じような体験をさせることが、難しくなっているのではないでしょうか

祖母は、私の人生のお手本です

60代前半  山口県

2017/04/12 5:38

1. ゆめさんの中にお婆様は生き続けているんですね。
成長した自分を身近な故人に見せたいという思いは、誰しも持っていると思います。
私も子どもの成長と共に昔の体験を思い出しますが、子ども達に同じような体験をさせていないように思います。

突然のコメント失礼しました。

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