薬箱の体温計を探していますが、しばらく前から見当たりません
　
「前に熱を出した時に貸したのを、まだ返してもらっていない気がするけど…？」
居候君に聞きました

「あの時に、すぐ返しましたよ」
自信満々なお返事でした

「返してもらったなら、ここに立ててあるはずなのに、変ねぇ…」

そのまま、何日も過ぎました


昨日の朝、怪我の様子を聞きに、居候君のお部屋に入りました

「痛みは、少し軽くなった？」

「風邪を引いたように、頭が痛いんです」
と言います

薬箱の体温計が見当たらないままなので、予備の体温計を貸しました

37.3度

「このまま下がるかしら…」
１日中うつらうつらと眠るので、声を掛けることもせずに、そのままにしていました

夜になっても、まだお部屋から出てきません

「具合は、どう？」
ドアをノックして聞きました

「さっき熱を計ったら、38.7でした」

「え？」
体温計は私が持っています

熱の高いのにも驚きましたが、返したと言い張っていた体温計があったことにも驚きました

「体温計を見つけました」
私の驚いた意味を、理解したようでした

寝てばかりと思っていたら、体温計探しもしていたようです


鎮痛剤を飲みきっていました
「どんな飲み方したの？」

鎮痛剤をもらいに、21時半を過ぎに救急病院に連れて行きました

診察の時に、傷を見るためにガーゼが剥がされます

「ウゥ～！ウ～ウ！」
口が開かないので、唸りながら手足をバタつかせて暴れるので、私が手足を押さえます

気遣って剥がしながら、先生が言いました
「まぁ、遊びでこうなったんだから、仕方ないな」

「ウゥゥ、ウゥゥウ！」
それでも痛くて暴れます

全部を剥がし終えた時に、ハァァァ～と長いため息をついたのは、居候君です

「ため息つきたいのは、こっちよ」
私を見る先生も看護師さんも、目元が笑っています

「どこも異常ありません。傷があることによる発熱です」

「『風邪を引いたように頭が痛い』って、言うんですけど…」

「打ってるんだから仕方ないな。ＣＴは異常ありませんよ」

「安心しました。ありがとうございました」

体力補強の飲み物を買って、自宅に着いたのは日付が変わる少し前でした


私の方が、頭痛しそうな日々の連続