魔法の言葉
他県出身の母親が亡くなって、その祖父母宅に行きにくくなった、ひと暮らしの男子がいます
父方の親戚は地元ですが、普段から行き来があります
GWだからと取り立てて出掛ける先もなく、近場で遊んでくすぶっているので、一昨日と昨日、彼に晩ご飯を作りました
数人だけがお呼ばれする優越感と、他所でお食事をするほんの少しの緊張感は、生活に大切なめりはりだと思っています
一昨日は、エビグラタンとエビチリを作りました
昨日の晩ご飯に作ったのは、子ども達が大好きなハッシュドビーフです
デミグラスソースで仕上げたのがハッシュドビーフで、トマトソースで仕上げたのがハヤシライス
似ているけど、違います
ハッシュドビーフはシチューと同じように食べますが、ハヤシライスはカレーのようにご飯にかけて食べるそうです
でも、子ども達はハッシュドビーフを、ご飯に掛けて食べるのが好きです
美味しかったら、どんな食べ方でもいいと思っています
我が家の食べ方は、他のお宅とは少し違うと思います
まず、大皿のご飯の上に、スライスチーズを1枚乗せます
その上に、ハッシュドビーフをかけます
さらにその上に、ポテトチップスを手で柔らかく握って、大きめに砕いて振り掛けます
熱々のご飯の熱気と、熱々のハッシュドビーフに挟まれたスライスチーズが溶けます
スプーンですくってもわかりにくいのですが、口に入れるとチーズのコクが美味しさを引き立てます
上に乗ったポテトチップスは少し柔らかくなりますが、口の中で変わった歯ごたえになるので、よく噛むことになります
子ども達は、この食べ方が大好きです
「言われた通りに作っても塩辛いのに、おばちゃんのは、まろやかなんよね~」
いつもの早食い男子が、味を探りながらゆっくり食べます
「お鍋を混ぜながら、もうひと手間、魔法の言葉が足りないんじゃない?」
「え?どんな?」
「おいしくなぁれ~」
大鍋をかき混ぜる仕草は、魔女鍋のようです
「あ~、確かに…」
笑いながら、納得してくれました
不思議ですが、柔らかい気持ちで作るのと、イライラした気持ちで作るのとは、同じ分量で作ってもできあがりが違います
おいしいものを食べたら、心が元気になるよね