ないの
「見てみて!餅まきがあったんです!」
嬉しそうに広げた居候君の両手の中に、紅白餅の入った袋が4つあります
「うち、お餅大好き~!」
居合わせた、居候君の同級生女子がねだります
「いいよ」
2つ、女子の手に乗せます
「ありがとう!」
鞄に仕舞い込んでいます
「お丼にお餅を入れて熱湯をヒタヒタに注いで、軽くレンチンすると、簡単に柔らかくなるわよ」
と、食べ方を教えました
「へぇ~」
居候君の、気の抜けた声
信じてない?
ちょっと、不愉快
私が晩ご飯を食べようとお台所に行くと、お餅は見当たりません
2個しか残ってなかった、居候君の拾ったお餅ですが…
「おばちゃん、1個食べる?」と、聞かれたかったのですが…
そしたら、「気持ちだけ頂くから、お餅はあなたが食べなさい」って言うのですが…
何の気遣いもなく、食べていました
ねだることは抜け目ない居候君ですが、「どうぞ」と言う気遣いを、私にしたことはありません
この話を、遊びにくる子ども達にしました
「なんで?おばちゃんに世話になっとるし、いろいろ貰っとるのに?」
「そういう輩ってことよね」
「甘え過ぎやろ」
居候君の同級生男子達が、腹立たしそうです
「『輩』は、ないでしょ?」
と言いながら、この子達のお世話をして良かったと、つくづく思いました
常識より良識とか、周り目線でのカッコいい生き方とか、私のお説教が効いているようです
うちに転がり込んできて半年ですが、がっかりさせることの上手い居候君です
居候君がこの子達のようになるには、どうもっていけばのか…
私の努力と忍耐力を、試されている気がします
『努力』と『忍耐』
私の、一番苦手な分野です