大物ですように
うちにいる居候君は、会社勤めをしてはいます
夜はもちろん早めに寝ますが、お仕事の時間以外は暇さえあれば寝ています
今朝10時半から、居候君と出掛ける約束をしていました
「ひとりで行ったら?」と言うと、「おばちゃんに、一緒に行って欲しいです」と言うので、私も同行することにしたのです
約束の時刻までに家事を済ませて待ちましたが、起きる気配がありません
放置して、お買い物に出ました
こう言うと、大概の人は「起こしたら?」と言います
私の用事で出るなら、起こします
彼の用事で出掛けるのに、本人が本気にならないのなら起こす理由がありません
だから、起こしません
すっぽかされたのは、これが初めてではありません
うちに来て半年になりますが、約束破りの常習犯です
「私の時間を無駄に使わないで」と言って聞かせますが、糠に釘です
『誉めれば図に乗って、叱れば折れる。自分を誉めることに長けているけど、他人目線を気にすることがない』19歳の居候君は、今どきの若者です
約束の時刻より1時間以上遅く、11時半を回って出先で携帯が鳴りました
「あ…。すみません。起きられませんでした」
寝惚けた声が、悪びれもせずに言います
「良いですよ。今は自分の用事で動いていますから、すぐには帰れません」と言って切りました
買い物を終えて帰宅すると、居候君はまた寝ているようで、自分のお部屋から出てくる気配がありません
厚狭に、三年寝太郎という民話があります
ろくに仕事をせずに寝続けた後に、大仕事をして地域に貢献する男の人のお話です
寝てばかりいる居候君も、誰かのために何かを成し遂げる、大物になるのでしょう