むかーしむかし。

勤めていた職場に私より一回り歳下の若い男がいた。

その男はお金が無いらしく、よく私にタカって来た。

喋るとオモロイ男なので、時々飲みに連れてってあげてて、お支払いは全て私持ち。

遠慮なく飲み食いする男で、

「コレ頼んでもええっすか？」

の一言もなく、ジャンジャン注文する。

自分で払う気などサラサラ無いから、値段など勿論見てもないし遠慮もしない。

お会計の際に、一応建前で

「半分払います」

と言ってくるから、

「ええよ、ええよ。歳下のアンタに出して貰おうなんて思っとらんよ」

と言っていつも奢ってあげていた。

もちろん、最初から奢ってあげるつもりで行ってたし、「半分払う」という一言があったから気持ち良く奢ってあげていた。

そんな事が続いたある日。

私に奢ってもらえるのが当たり前と思い始めていたであろうその男がLINEして来た。

「りこさん、一緒に昼飯食いに行きましょーよーーー！」

その時、私は1人でイオン岡山で買い物をしていた。

「今、イオンに出とるから、無理じゃわ‥」

って断ったら、その男はイオンまで出て来ると言い出す。

私は1人で買い物を楽しみたかったから即断った。

すると、「荷物持ちでも何でもするから！」と強引に食い下がってくる。

どうやら金がないから飯を食わしてくれ！
って事らしい。

最初からタカる気満々のその男。

今までは建前でも「半分払う」と言って来てたから奢ってあげていたが、当たり前のように最初から飯を食わしてくれ！と言われるのは極めて不愉快だった私は言った。

「何で私がアンタに飯食わしてやらにゃいけんのよ？奢ってもらえるのが当たり前って思う奴って大嫌い。そんな奴には500円だって惜しいわ」

とハッキリ言ったら、その男はブチギレた！

「えっ？りこさんにとって俺には500円の価値も無い男って事っすか？
歳上が歳下に奢るのって当たり前の事じゃないっすか？
俺は歳下の奴らを連れて行く時は何人いても全部奢ってやりますけどねぇ？」

と言いやがる。

「歳下の奴らを何人も連れて飲みに行って奢ってあげる位なら、それやめて自分の昼飯代くらい自分で払ったら？」

と答えた。

すると、アチラもなかなか引き下がらない。

「りこさんに奢ってもらえるタダ飯を食いたいんです、俺は！」

と‥。

もう呆れて物も言えない心理状態に陥った私。

「私にとってアンタは500円の価値も無い男だから、遠慮しとくわ。自分で飯代払いな」

って言ってLINEは強制終了した。


それから1年位、ずっと音信不通。

もう連絡は無いだろうなって思ってたら
1年後位に久々に連絡があった。

「りこさーーーん。昔の事は水に流してまた飲みに行きましょうよーーー！俺、ちゃんと半分払いますから！」

と。

ふーん。ちったぁ改心したんだ？
と思って久々に飲みに行った。

お会計の際に、ちゃんと半分払う！と申告してきたので、奢ってあげた。

すると店を出た瞬間に

「半分払うって言ったら、りこさん奢ってくれるんですよね！俺、ちゃんとそれ分かってますからね！」

と。

一言多い。
そういうのは例え思ってても口に出して言うもんじゃないんだよ
ご馳走様でした！それだけでええんだよ！
アンタのその一言で、今日の飲みの気分が一気に台無しになったわ。

いくら歳下でも、奢ってもらう気満々の奴は可愛げ無い‥

捨て台詞して帰った、懐かしくも不愉快な昔の思い出。