人の一生って、割と±0に近い形だと思ってるのね。
人生最期には帳尻が合うって言うか。


一生、幸せで溢れかえって終われる事は無いと思うし、
産まれてから死ぬまで地獄の様な人生だけだったってのも無いと思ってる。


良い時があったり
悪い時があったり
平凡な時があったり

色々だよね。


私は幼少期の頃は過酷な人生が続いていて
他の人が普通に持っている平凡な幸せは何一つ持ち合わせて居なかった。

温かい家庭も、温かいご飯も、無償の愛を惜しみなく注いでくれる家族も居なかった。

着る物に困り、食べる物に不自由し、
学校や生活に必要な道具も持っていなかった。

身体が成長して学校の上履きがキツくなっても
買い替えてくれるような親は居なかったので、踵を踏んでスリッパの様にして履いていた。

毎日、お風呂に入る事は許されなかった。

着ている制服も、常に寸足らず。
身体に合っていないちんちくりんの制服を着ていた私はさぞ滑稽だった事だろう。

生まれて初めて自分の自転車を持てたのは
高校生になった時だった。
もちろん自分で働いて買った自転車。

周りの大人からちょっとした用事を引き受けては
お駄賃を貰ってコツコツ貯めていた。


子供ながらに
人の顔色を見て、人の求めている事を探し出して
ちょっと気の利いた事をして褒められてお金を手にする事を覚えた。

15歳にして初めて手にしたピカピカの新車に乗れた時の嬉しかった事！


それからの私は、がむしゃらに働いた。

『お金があれば、お金さえあれば。』


金の亡者か守銭奴か？
高校生のうちから、とにかく働いて働いて働きまくって、一円のお金も惜しんで貯めに貯めまくった。

高校生なのに朝の4時に起きて早朝のバイトに行って、始業ギリギリまで働いて
バイト先から制服に着替えて学校へ通う生活。

本当によくやったもんだよ🙄


そんな苦労をして育った子供時代。
まるで不幸を絵に描いたような人生だった。


大人になって、
さぁ！これから自由に生きるぞー
って意気込んでみたものの‥

長年培って来たせせこましい生活の癖は
そう簡単に抜けるものではなく。

うら若き乙女時代も
ファッションにもメイクにも見向きもせず
流行りの物など何一つ手にする事もなく
ただただ通帳の残高が増えて行く事のみを楽しみに生きていた。


ろくな子供時代を送らなかったせいか？
結婚や子供を持つ事に憧れは無かった。

むしろ子供なんて大嫌いだった。
ワガママで自分の要求が通らないと直ぐに泣き叫ぶ、手も口も汚れている汚い存在だと忌み嫌っていた。


そんな私が、何の運命の悪戯か？
子供を持つ事など望んでいなかったのに
2人も我が子を授かった。

産まれて来た子供は、先天性の病にかかっていて一生病気は治らないと医者に宣告され
目の前は真っ暗、絶望しかなかった‥。


子供なんて大嫌いな私の所へ、何で病気を持った子供が産まれてくるの？
そう言う子は、全てを受け入れてくれる大きな愛を持って乗り越えられる親を選んで生まれるんじゃないの？

なーんて思ってみたけれど。

持つつもりも無かった子供。
ところが産まれて来たら、何と可愛い事か🙄

病気があろうがそんなの関係ない。
もう愛おしくて愛おしくて、どうしようもない位に可愛くて、私は初めて親子の愛を知った。

我が子とは、こんなにも愛おしい存在なのか。
今まで私の事を愛してくれる親が居なかった事が不思議でならない。

だから私は、私の事を産んだのに愛せなかった親はとても可哀想な人なのだと思うようにした。

子供が産まれてからはずっと幸せだ。
幼少期に憧れた普通の幸せを手にした。

温かい家庭、温かいご飯、無償の愛を惜しみなく注げる我が子。


不幸を絵に描いたような前半の人生から打って変わって、今は溢れんばかりの愛と幸せを手にしている。

学生の頃から働きまくって、人の一生分の労働を既にしていた位に働いてお金を貯め込んでいたから、そこそこ生活に余裕もある。

自分の不幸な生い立ちを呪った事もあるけれど、そんな事はどーでも良い位に今は幸せで溢れている。


もちろん、日々辛い事も嫌な事も沢山あるけれど
人生は限りなく±0に近いと思っているから。

前半分の苦労は後半でちゃんと幸せが巡って来た。

残りの人生は平々凡々に
普通に歩いて行きたい。


ゆっくりのんびり空を見上げて、
行く先を決めずにぶらぶらと寄り道して
野の花を眺め、
一緒に手を繋いで歩いてくれる大切な人と共に生きて行きたい。


美味しい物を食べ過ぎて太ってもいい。

可愛いニャンコを愛でながら
子供達が帰ってくるのを待とう