ﾁｬｯﾋﾟｰに､ﾁｬｯﾋﾟｰって名付けたのは俺だ｡漫画本からとった名前だ｡半分ふざけてつけた名前だ｡俺はまだ中学生だった｡



せんべいがすごく好きで､いつも指まで食うんじゃね？って勢いで､食べてた｡



ﾁｬｯﾋﾟｰは､ﾊﾞｶだ｡木の回りをｸﾞﾙｸﾞﾙまわって､動けなくなって助けを求めてきたり､足についた散歩用ﾛｰﾌﾟがとれなくてがんばったり､歩きながら排泄したり｡


そんなﾁｬｯﾋﾟｰをｲﾗｲﾗしながら､時に笑いながら見てた｡



おばあちゃんちで飼われてた時､いつも行くと喜んでほえてた｡おばあちゃんが死んだ時､わかってるのか､悲しそうに鳴いていた｡おじいちゃんが死んだ時､生まれ変わりのように､五匹の子供を産んだ｡





うちにきた時､最初は鳴いて､鳴いて､鳴いて､近所から苦情がきた｡警察にも注意された｡俺も何度も怒った｡叩いた｡


散歩では､ﾏｲﾍﾟｰｽでぐいぐい引っ張っていく｡



車止めに引っかかって雁字搦め｡本当に､ﾁｬｯﾋﾟｰはﾊﾞｶだ｡



けど､すっごく美人で､ﾌｻﾌｻで､上品で､何やっても怒らなくて｡いつでも家に帰ると､こっちを可愛い顔で見てくれる｡そんなﾁｬｯﾋﾟｰが癒やしだった｡大事な存在だった｡





久々に､本当に､涙が止まらないよ｡１日､１日がｱｯﾌﾟﾀﾞｳﾝ激しい中で､ひどいよ｡あんなにﾌｻﾌｻなのに､あったかくないよ｡昨日散歩したのに｡今朝､見送ってくれたのに｡



幸せはいつまで続くかわからない｡突然なくなる｡そして､なくなってから気付く｡ﾊﾞｶなﾁｬｯﾋﾟｰより､俺はﾊﾞｶだね｡たくさんあたって､ごめんね｡もっと遊んでやればよかった｡もっと､触れていたかった｡



こんなに大事に思ってたなんて､自分で知らなかった｡本当に､家族の一員だったんだ｡みんな､こんなに泣かせて｡悲しい気持ちにさせて｡罪な奴｡



苦しくなさそうな顔で､俺はみとってやれなかったけど､一番世話して可愛がってたお母さんと妹に見守られて､元気にいけたかな｡



食べるのも歩くのも好きだったから､自由にしなよ｡いままでありがとう､ﾁｬｯﾋﾟｰ｡絶対に忘れない｡





享年14歳