２ヶ月前に電話して以来の電話｡その声は元気が溢れていた｡





すげぇ先生についた話､川で泳いで溺れかけた話､ｲｼﾞﾒの話｡





全てが､雲の上の話に聞こえた｡一つ､一つが輝いて｡





俺があこがれた､のだめｶﾝﾀｰﾋﾞﾚのような､音楽が中心の生活｡良い先生について､ひたすら勉強して､いっぱい音楽に触れて､異国の生活や文化に触れて､自分の音楽を創っていく｡






あの頃､そこには俺の方が近かった｡先生にも期待されてた｡





ただ､その横をあいつはすげぇ勢いで抜き去っていった｡いや､飛び越えていった｡






電話で話を聞いた時､俺が感じたこと｡






それは嫉妬ではなく､喜びだった｡





慣れぬ土地に単身挑み､誰も味方がいない｡そんな中で､少しずつ慣れてきた状況｡






２ヶ月前は､不安しかない声だったから｡





本当に､よかった｡





そして､優劣なんてないのはわかってても､負けたくないって思った｡





｢かっこわりぃとこ､見せんなよ｣





男前に言われた言葉に､ｷﾞｸﾘとした｡頑張ってない自分。そして、誰に何を言われるより、激が入った。負けたくない。





｢私が帰国したら､性格も変わってて､○○はｷﾗｲになるかもしれないね…｡｣






お互いに､これから変わっていくだろう｡事実､お互いに電話で成長してると､俺は感じた｡







俺には､俺のｽﾃｰｼﾞがあって､あいつにはあいつのｽﾃｰｼﾞがあって｡





だから､俺は俺の音楽に全力で､想いを込めて弾いて､｢どうだ｣って胸張って言えるように､常にありたい｡







俺が成長していった先で






｢あなたは一生大切な人です｡あなたに恋をしてよかった｡｣








そう自信を持ってｶｯｺよく言い切りたいから｡