サッカーで骨折してたのに走りまくってW杯日本人初ゴールをとったゴンこと中山雅史選手は有名な話だと思いますが、このエピソード個人的にすごく好きなんです。



そして、今回フィギュアスケートの羽生結弦選手。すごい、筆舌に尽くせない感動をもらいました。



本番直前練習中に中国イエンハン選手と超スピードで激突。頭部と顎から出血、しばらく立ち上がれず、歩くのもフラフラで顔面蒼白。(ここまでは、まだテレビ見れてなかったので情報やリプレイ画参考)



最初は、「どっちが悪いんや！」と思ってましたが、画像見た感じだと個人的にはあのスピードではお互い何もできなかったと思います。完全なる事故かと。



その後、フラフラになりながら練習再開。(ここらへんからテレビ見た)ジャンプはこけまくるし顔面蒼白とはこのことや、ってくらい顔色悪い。練習なので周り滑ってる人とすれ違うだけでお客さんは「キャー！」と悲痛な悲鳴をあげる。



練習を終えリンクを降りると歩くのもフラフラ。アナウンスの松岡修造さんは「個人的には、(大事をとって)棄権してほしい。」解説の方も「あの状況で棄権しない人は見たことない。」織田信成さんも「普通の状態でも4分半滑るのは大変なこと。」と棄権を促していた。事実、ぶつかったイエンハン選手は「棄権するようです。」と言っていた。明らかに相手より重症な羽生選手が棄権しないのはおかしい。けど、俺は滑っている羽生選手の目には、闘志を感じた気がした。まだ目が死んでない、と。



周りのコーチも止めていたようだが、本人が頑なに「やる。」といって憚らなかったよう。



そんなわけで、まずイエンハン選手の出番になり、棄権かと思いきや、最後まで滑りきる。解説も途中「頑張れ！」と応援していた。ジャンプは失敗し、顔は苦痛に歪んでいたが、滑りきった。しかも、滑る前には羽生選手と会話し、羽生選手から握手を求め、和解していた。



羽生選手の出番になると、顎に絆創膏、頭に包帯と満身創痍の状態なのは明らかだった。それでも、最高難度の４回転に挑戦、ジャンプは何度も失敗しても、何度もすぐに立ち上がり次の演技に、スピンやステップはしっかりとこなし、終盤(前半より疲れているため成功が難しく点数が高い)３回転ジャンプを決めコンビネーション(続けてジャンプを飛ぶ)まで決める。流れる曲を口ずさみ、歌いながら、まさに集中の鬼のような顔で苦悶の表情なく演技をしきった。最後の決めポーズまで、きっちりと。



演技の間、会場が異様な、形容しがたい緊張した雰囲気だったのがテレビからでも伝わってきた気がした。



「無理はしないでほしい」



解説の方も、「結果よりも、何事もなく、滑りきってほしい。」と言っていた。



滑りきったあと、リンクには花束がこれでもか！というくらい、見たことないくらい投げ込まれた。賞賛の花束。それに、しっかりと答える羽生選手。解説の方は「涙で、コメントができません…」「すごい場所に居合わせた。」「ずっと語り継がれていくだろう。」と驚きを隠せない。




一部始終、特に演技の間は一瞬たりとも見逃せなかった。演技が終わる前から、涙が滲んできた。なんて、人なんだ。




リンクを降りると、一人では歩けず、コーチに肩を貸してもらい、なんとか移動し、結果を待つ。横には、担架がすでに用意されている。結果はこの時点では1位、最終的には2位だった。羽生選手は泣いた。その涙は、安心か悔しさか、嬉しさか。本人にしかわからない。




羽生選手の後、全体の最後に滑ったロシアのマキシム・コフトン選手が優勝した。演技が終わった後、優勝を確信し、ガッツポーズを小さくしたが、笑顔は結果が発表された時も、少しもなかった。結果発表されたあと、不機嫌そうに、捲し立てるようにコーチに話かけていた。自分の演技が不満だったのか、あるいは何か思うとこがあったのか。




最後、中継が終わる直前、一瞬担架で運ばれる羽生選手が写った。運ばれているのに、笑顔でカメラに手を降っていた。






棄権したって誰も責めないし、それが普通の状況だろう。むしろ、悪化させたらどうするんだと、批判する人もいるかもしれない。それでも、強い意思と、妥協しない練習と、それまでの蓄積、想いなど、色んなことをひっくるめて、常人にはできないことをやり遂げた。




これが、プロなんだな、と思った。宮城県人で、こんなすげー人がいるなんて、本当に嬉しい。尊敬する。本当に、たくさん参考にしなきゃいけない。人間として。




羽生選手は「演技を通して、何かを感じ取ってほしい」というのが、演技の根本にあるらしい。きっと、多くの人の心に刻み込まれたと思う。すくなくとも、俺は感情を非常に揺さぶられた。



きっと、ニュースやら動画やらでるだろうから、よかったら見てみて下さい。