つないだおてて
少し風が冷たくなったある日。
俺はとあるスーパーにいた。
いや、別に気温が低くなる時にしか
買い物をしない訳ではない。
「もしそうだとしたら、真夏は
買い物行けないジャン!」
と読者にプチ反抗期である事をアピールしてから
物語を紡ぎたいと思う。
あれは確か、冷凍食品と何かのコーナーに
挟まれていた通路だったと思う。
お菓子コーナーじゃない所がツウだね。うん。
そこの通路に、若干小汚い少年が立っていた。
年は3~4歳といったところだろうか。
明らかに挙動不審だ。
「ん?万引きでもするのか?」
ジッと見ていると、何か様子がおかしい。
目が半泣き直樹(TBS系)になっている。
あたりをキョロキョロ、半径2~3mを
縛られたおもちゃのように動き回っている。
勘の良い俺はピンと来た。
「はは~~ん、お漏らしだな?」
俺は子供を放っておけないたちなので、
近付いてしゃがみこみ、話を聞いてみる。
「僕~、どうしたの~~?」
普段仕事では絶対に聞けない
トーンで少年に語りかけた。
「ふぁんjdfぬうちゃん(聞き取れない)と
お母さんがいないの~~」
迷子。
俺の勘は明らかにハズレだった。
そういえば、最近よく予想を外す。
雨が降らないと信じて、手ぶらでドシャ降り
みたいな。
今度から「曲げ屋ラフレス」にしようと思った。
そんな事が頭をよぎりながら少年を見ていると、
突然優しいお兄さん(ギリギリ)に声をかけられて
安心してしまったのか、少年は、
目が半泣き直樹から全泣き直樹(TBS系)に
なっていた。
おおっと~、ここで泣かれると俺が泣かせた
みたいになるじゃないか!
善人から悪人になるのはイヤだ。
少年を落ち着かせて話を聞いてみる。
名前を聞いてみる。
「け~~たく~~ん!」
ちょっと間延びしたのがイラッとしたが、
名前は重要だ。
館内放送してもらう可能性もあるためだ。
そして、お母さんの特徴を聞いてみた。
「ふぁんjdfぬうちゃん(聞き取れない)と
一緒~~」
いいか坊主。俺はお母さんの特徴を
聞いているんだ。
ふぁんjdfぬうちゃん(全然聞き取れない)の
事を聞いているんじゃない。
聞かれた事だけに答えるんだ!
という心の声を胸のボイスレコーダに録音し、
オジサン(ややおこ)は、冷静に聞きなおした。
「お母さんはどんなお洋服着てるのかな?」
仕事仲間が聞いたら、コーラを吹き出す(サイダー
でも可)レベルの声だ。
「白いワンピース~~。ふぁんjdfぬうちゃん
(やっぱり聞き取れない)と一緒!」
なんだ坊主。日本語わかるじゃねえか。
最初からオジサン(おこ)の質問に答えてれば
世の中上手く回るんだよ(親指を立てる)。
ただ、ふぁんjdfぬうちゃん(結局聞き取れな
い)の話は聞いてねえんだ。
そこだけ賢くなれ。な。
という心の声を胸のボイスレコーダに録音し、
その場で立ち上がって周囲を見渡した。
周囲を見渡したぐらいで簡単にお母さんが
見つかるようなら、
そんなものは迷子じゃない。
俺は認めない。
この際、何を認めないかは教えない。
辺りを見渡して一言、
「お母さんいないね~」
すると、立ち上がってぶら下がっている
俺の左手を誰かが握った。
け~~たく~~んだった。
「こ、これは、俺に全てを委ねるって事か!
め、めんどうくさい・・・。」
この、不安で少し汗ばんだ小さなおててを
振りほどくほど鬼にはなれず、
二人は母親探しの旅に出た。
3分後。
二人の旅は終わった。
この狭いスーパーなら、すぐに見つかるに
決まってる。
前方にいた買い物カートを押している
お母さんに向かって、
け~~たく~~んが走っていった。
それに気が付いたお母さんが、
「どこ行ってたの~~!」
と声を上げた。
よく見る光景だ。
お母さんは俺に丁寧にお礼をいうと、
け~~たく~~んにも頭を下げさせた。
二人の旅人は、母親というガンダーラに
たどり着いて終わった。
俺は一仕事終えて、自分の買い物に戻った。
そういえば、今日の日記に一つだけ書き残したい
ことがある。
将来ワクワクをやるかも知れない、
未来のけ~~たく~~んにだ。
け~~たく~~ん、よく聞くんだ。
あの時、お母さんは一人だったし、
洋服は柄物のワンピースだった。
なあ坊主。熱く語っても
間違えちゃだめだぞ。
おわり
コメント
2013/10/25 19:49
2. お疲れ様でした(*^^*)
返コメ
2013/10/25 19:46
1. え?!
け~~たく~~んのお母さんて!!
っていう展開かと思いましたが…(笑)
ハズれました。
でも、いいお兄さんですよぉ~(笑)
(^^)
返コメ