12月の映画日記⑪
①レバノン
②12/15 渋谷シアターN
③観たかった
④第66回ヴェネチア国際映画祭で最高賞となる金獅子賞を受賞。
1982年6月6日、イスラエル軍がレバノンに侵攻した最初の一日を描いた物語である。
優柔不断な指揮官、反抗的な装填係り、気が弱い砲撃手、臆病な操縦士。
鋼鉄の箱に護られた4人の戦車兵は、生々しい戦場の光景を目撃する。
炎上する街、砲撃で四散する敵や味方の兵士、犬のように殺されてゆく女子供や市民たち。
それは精神の限界を超えた、狂気と殺戮の地獄絵図であった。
そして遂に、安全と思っていた彼らの身にも危機がせまるのだが…、こんな感じのストーリー。
私、戦争映画は嫌いじゃないけど、だからといって戦争どうのとは、あまり語りたくないんだよね。
戦争犯罪も同様にだけど。
で、この映画が面白かったのは、物語は全て狭い戦車の中での会話をメインとしてること。
そして、その戦車内から見る外側の景色は、全て主砲のスコープ越しの視点。
小さなスコープを細かく動かし、戦場の状況を追えば追うほど、想像を絶する光景がスコープ越しに見えてくると言う。
スコープを横に動かすと、飛び散った市民や兵士の死体がゴロゴロ転がってたりと、スコープの視界の狭さとズーム具合が絶妙のリアルさを演出。
さらに対戦車砲弾が命中してからは、中も外も極限状態と言う気が狂う一歩手前のギリギリで物語が進むのが非常に見応えありました。
戦争映画が好きな人ならお試しあれ。
⑤7.5点
⑥そんな戦争映画繋がりで、「ハート・ロッカー」を紹介。
ワクワクで映画日記を書き始めたのが6月からなので、3月に観たこの映画の事は書いてなかったしね。
この「ハート・ロッカー」は戦争映画だけど、無差別で仕掛けられる爆弾テロの爆弾を解除する主人公の物語です。
爆弾テロ犯は宗教的な対立による犯行の為、アメリカ軍、別宗派、一般市民など、邪魔する者は皆殺しと言う思想が本当に恐ろしい。
で、この映画の強い求心力となるのが、爆発物解除シーンの連続。
携帯電話が起爆装置の爆弾、子供の体内に埋め込まれた人間爆弾、人質に巻き付けられた時限爆弾など、さまざまな種類の爆弾を主人公が命がけで解除するシーンはハラハラしっぱなし。
ただし、この映画は爆弾テロは悲惨であると訴える映画ではなく、まして爆弾処理を行う主人公をヒーローに描いてる訳でもない。
オープニングで「戦争は麻薬である」と見せる様に、爆弾処理の中でしか生きる実感を持てない、戦争に取り憑かれた男の話なんですよね。
アカデミー賞作品賞とだけあり、なかなかに見応えのある映画です。