かぼちゃの神様
50代前半  東京都
2017/06/02 12:12
かぼちゃの神様
ある冬の日、自宅が全焼。
仕事から戻ると
自宅は、燃えつきていた

友達から、そんな電話があった
今晩、泊めて欲しい、火事でさ。。。

母に泊めて良いかと聞くと、即OK。
なぜか、母は、夕飯に、チラシ寿司と
カボチャの味噌汁を作った。
えっ、チラシ寿司って…(笑)

夜遅く、友達がやってきた。火事のあと
消防署や警察の方とお話して
近隣近所の方にアタマを下げに行って
燃え残った荷物の整理してたらしい

家に来た時は、手も顔も
火事のススで真っ黒だった
母が、お風呂の準備をしてたから、
友達は気持ち良さそうに
風呂上がりにビールを飲んだ。。。

ビールを飲み終わる頃、
母はありったけのタオルと手ぬぐいを
袋に詰めて、友達に渡した。

火事のあとは、何かと使うから…
掃除だって、手を拭くんだって使える。
寒ければ、クビに巻いてもいい。
いざとなったら、繋いで服にもなる。。。

母はボロボロ泣いていた
家が燃えた人間じゃなきゃ
この気持ちは、分からないんだよって。



15才の初夏、母の生家も含めて
空襲で町一帯の、すべてが全焼
母は、家族と燃え残った材木で
掘っ立て小屋を作って住んでいた

すべてを失って、食べるものがなくなる頃
どこからか、カボチャの蔓が生えてきた
母が住んでた家の跡地だけ。

いつしか、広大なカボチャ畑となり
近隣近所に分けて
みんなで、飢えを凌いだらしい。

母の脳裏には
その頃の風景が映ってたのでしょう

チラシ寿司は、家族も食べれるよう
持ち帰りをさせるために。。。

そして、友達のために
カボチャの味噌汁を作った
もう火事が起きないようにと。。。


そして、カボチャの神様に、御礼を込めて。

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