好奇心を失くした時
それが人間が老人になる瞬間らしい。

逆に言うと好奇心を持ち続けたら、その人は年をとっても「老人」にはならないって事だ。
つまり好奇心を持つって事は「若々しい」って事なのだろう。

人間は好奇心を持つ事で進化を続けてきた。
僕ら男が持つ「あー、やりてぇ～」っていうムラムラした気持ちも女性に対する好奇心から来るものだ。その結果人類は繁栄し、僕らが生きる現代が存在している。

つまりエロい男は好奇心旺盛って事になる。
そしてエロい男は若々しく、そのエロかった人達のおかげで今の僕らの生活があるってわけ。

いやもうホント、エロって嫌悪されがちなワードだけど実は素晴らしいものだよね。

エロがいかに大切かって事を考えたら、本来もっとオープンにすべきなのかもしれない。
オープンエロス、夢のような響きだ。

でも好奇心旺盛な僕はもう一歩踏み込んで考えてみた。
するとある疑問が芽生えたのだ。

「いや、待てよ。エロがオープンになったら、果たして僕ら人間はエロに好奇心を持ち続けられるのだろうか？」

そう、実はエロは秘められた事だからこそ皆の好奇心をくすぐるのではないか？という疑問である。

個人的にはこの答えはYESなのではないかと思う。少なくとも我々日本人にとっては。

僕は外国の、特に欧米のスポーツのようなセックスをするエロビデオ、動物のような本能丸出しのセックスをするエロビデオは好きじゃない。

当然、日本人よりグラマラスで豊満なボディの彼、彼女たちのカラダはエロに満ち溢れている。
しかし調子が良ければ視力2.0の僕の目では見えない「オープン過ぎる何か」を感じてしまうのだ。
その結果、洋モノにエロさを感じない。

本能の向こう側

もっとこう秘められたイケナイ事をしちゃってるイヤラシイやつ、言葉じゃ難しいけどネチネチした何かを感じられるやつにエロスを感じ、僕は好奇心をくすぐられる。

そう、エロは秘められているからこそ好奇心を増長させてくれるのだ。


率直に言おう。

僕は好奇心が強い。
そしてその対象は当然エロだけでない。

色んな物に興味が湧いてしまうのだ。
そして色んな事を試したくなる。

角質除去クリーム

皆さんご存知だろうか？
おそらく女性なら誰もがその存在を知っていることだろう。

顔とかに塗ってゴシゴシすると、まるで消しゴムのカスのようにボロボロと角質がとれるという魔法のようなスキンケア商品だ。
僕も好きで良く利用している。

先日、うちのお風呂場に角質除去クリームが置いてあった。おそらく奥さんが持ち込んだのだろう。

僕は躊躇なく「勝手に使おう」と考えた。
しかしそこには意外な文字が書いてあった。

かかと用

僕は思った。
「え？かかとに使うの？」

なめらかかとの持ち主である僕には不要な物だ。

興味を持って読み進めていくと、ある注意書きが目に付いた。

「顔には使わないでください」

皆さんどうだろうか？
僕クラスの好奇心の持ち主がこれを読むと

「顔以外ならどこにでもお使いください」

と脳内変換される。

しかし日頃からスキンケアに余念のない僕のカラダは結構どこもかしこもツルツルスベスベだ。だけど、使ってみたい。

どこかにないか？

ガサガサしてるところはないか？

僕の繊細な指先が身体中を駆け巡る。
ガサガサを求める旅に出た結果、指先のセンサーがある場所にガサガサ感を検知した。

ガサガサハッケンシマシタ

唯一のガサガサ
そこは忘れられた聖地「玉袋の裏」だった。

これは盲点だった。
全身くまなく保湿ケアをしている僕が30年以上に渡って放置していた無法地帯。
神さえも見落とした聖地ホーリーランド。
それが玉袋の裏である。

迷いはなかった。

顔以外はどこにでも使える魔法のクリーム(かかと用)がここにあるのだ。使わない理由がない。

勇者よ、聖地に光を取り戻せ！

僕は一旦風呂場を出て脱衣所に行き、我が家で1番ふかふかの今治産タオルを取り出した。

僕は心得ている。
慌ててはいけない。
デキる男はいつだって丁寧さを忘れない。
まずは聖地「玉袋の裏」の水分を丁寧に拭き取ってから。
光を取り戻す「聖なる儀式」はその後だ。

風呂場に戻った僕は、椅子に座り立派な袋を持ち上げ、秘められた聖地ホーリーランドにそっとタオルを当てた。

ひょ、ヒョヒョヒョヒョ！

なんて素敵な肌触りなんだろう。
僕はその感触にうっとりとした。

そして愛媛のタオル職人に心から感謝した。
「あなた達が精魂込めて作り上げたこのタオルが今、僕の聖地で躍動してます！」

思わず伝えたくなったが、それは後だ。
まずは聖地に光を！！

今治のタオル職人のおかげでしっとりと乾いた最高のコンディションに仕上がった聖地ホーリーランドに満足した僕は、とうとう勇者「角質除去クリーム」に手を伸ばした。

パッケージの「顔には使用しないでください」と書いた文字が僕に微笑みかける。
その眼差しは「オレ良い仕事しますよ？」と僕に語りかけているかのようだ。

よし、お前に任せたぞ

僕はそう言って１つ頷いた。
そしてゆっくりと蓋を開け、右手でチューブを持ち上げた。

抜かりはない、完璧すぎる。

左手人差し指と中指をピンと立て「加藤鷹スタイル」の受け皿を作った。

出でよ、聖地を救う勇者！！

これは神聖なる儀式、ケチってはいけない。
チューブから左手の指先にたっぷりと5cmほどのクリームが舞い降りた。

いや、言い換えよう。
僕の指先に「5cmの勇者」が降臨したのだ。

ロトの血を引く勇者よ！
聖地ホーリーランドに光を与えたまえ！！

僕は願いを込めて聖地「玉袋の裏」に加藤鷹スタイルの指先を当てた。
その刹那、僕の左手から5cmの小さな勇者が聖地に降り立った。

はううぅっっ・・・

30年以上誰も立ち入らなかった聖地
冬の寒さで冷えた角質除去クリームのヒヤリとした感触に思わず声が漏れる。

・・・だが悪くない

僕は指先を小刻みに動かして勇者を聖地に刷り込んだ。そうさ、僕はスーパーテクニシャン！

ゴシゴシゴシゴシ

はううぅっ

徐々に指の動きは早くなり、そのスピードはついに音速を超えた。

シュシュシュシュシュシュシュシュッ！！

その瞬間、僕は声を上げた。

・・・なんっじゃこれはっ！！

ボロボロと面白いようにペーストと共に白い角質が剥がれ落ちていく。
顔の角質とは比にならない量だ。
12月24日であればホワイトクリスマスだ！

きっと君は来な～い

いや山下達郎さん、それじゃダメだ！！
攻める気持ちを忘れるな！
気を良くした僕は聖地ホーリーランドに勇者パート2を送り込んだ。

ゴシゴシゴシゴシ
まだまだ取れるよ！！
よーし、勇者パート3だぁぁぁっ！！

こうして時が流れた

一通りの儀式を終えた僕は満足気に笑みを１つ浮かべた。
そしてシャワーを取り出し、剥がれ落ちた角質まみれの聖地を42℃のお湯で洗い流した。
シャワーがかかった聖地近くにそびえ立つヤシの木も気持ち良さそうだ。

期は熟した。

果たして聖地ホーリーランドに光は降り注いだのだろうか？

僕はシャワーで洗い流された聖地にそっと繊細な指先を当ててみた。

・・・・・・っっっ！！？



ツルツル・・・いや違う
ツルッツル・・・いや違う

・・・テュルッテュルやんけっ！！


なんだこの感触は！
今までのガサガサが嘘のようだ。
しっとり、スベスベ、ツルツル全てを足したような赤ちゃんのような肌じゃないか！！

ありがとう

僕は勇者と今治の職人に思わず感謝の言葉を述べた。

入浴を終え、僕は風呂場を出た。
なんて清々しいのだろう。
入浴前と世界が違うように見える。
「この世界も悪くない」
まるで大人になったあの日のようだ。

リビングでテレビを見ている奥さんに僕は報告した。

僕「かかとの角質ボロボロとれるクリーム使わせてもらったよ」

嫁「ああ、あれ結構ツルツルになるでしょ」

僕「うん、ビックリするぐらい取れた」

嘘はついていない。
まさか彼女はリビングでテレビを見てる間に、風呂場では聖なる儀式が行われていて「かかと用のクリームを使用して、玉袋の裏がスベスベになっている旦那」が目の前にいるなんて夢にも思わないはずだ。

秘められているからこそ好奇心が湧く

そう、きっと夫婦関係も少しの秘め事があった方が上手くいくものなのさ。


それ以降、僕は何度か儀式を行っている。
そして今もまだ聖地には光が満ち溢れている。

聖地「玉袋の裏」はこうしてスベスベになった。これも僕の強い好奇心のおかげだ。

さて、女性の皆さん。
この光溢れるテュルッテュルの秘められた聖地に触れてみたいですか？

YESと答えたエロ全開の方、あなたのその好奇心が「若々しさ」を保ちます。
どうかいつまでもその気持ちをお忘れなく！

そして男性諸君！
今すぐ「角質除去クリーム」を買いに行くんだ。そしてぜひ試してもらいたい。
あなたの秘められた聖地に。

老けこんでる場合じゃない。
共に進もう、本能の向こう側へ。

そう、僕ら人類は好奇心によって進化してきたのだから。