「ドラえもんの道具で1番欲しいものは？」

みんな一度は考えた事があるんじゃないかな？
その中でもおそらくダントツで人気になるのは

「どこでもドア」

だと思う。

すごいよね、どこでもドア
欲しいよね、どこでもドア

だってさ、どこにでもすぐに行けるんだよ？

行きたい時にぶらっと旅行に行って
通勤もあっという間
会いたいあの子にもすぐに会える

すごいよね？どこでもドア
欲しいよね？どこでもドア

通勤なんてホント楽で良いだろうなぁ。
どこでもドアの無いこの時代って何て不便なんだろう。

ふとそんな事を考えた僕は、今回本気で
「どこでもドア」
について深く深く考えてみることにしました。



まず「どこでもドア」とは何なのか説明しよう。

どこでもドアは扉の上下に「空間歪曲装置」がついており、ドアのノブは「意志識別センサー」が搭載された「行き先受信ノブ」となっているらしい。(Wikipediaより)

これにより、「行きたい」と思ったところを念じて扉を開けるだけで「行きたいと思った場所」に行く事が出来るとっても便利な扉だ。

ところで皆さん
この「どこでもドア」の価格って知ってますか？

なんと64万円！！
(1986年に中央公論社から発売された「ドラえもん道具カタログ2112年版」から引用)

これって破格だよね！
あの便利機能を考えたら安すぎるよ。

なんて言っても車より全然安いんだから！！


皆さんお気付きでしょう。

車いらねーじゃん

そう、その通り！
車なんて乗る人いなくなっちゃいます。

これは環境に優しい。
二酸化炭素削減されますね！
グレタさんもニッコリだ。

・・・いや、待て！！
そんな悠長な事を言ってる場合じゃない

我々は気付かなければいけないんだ。
「どこでもドアがもたらす世界」の恐ろしさに！

特に男性諸君、
肝に銘じておきたまえ

僕は気付いてしまった

車が無くなるということは・・・



マジックミラー号がなくなるやんけ！！



これは由々しき問題である。
我々にとって
「マジックミラー号の無いエロ動画」
なんて、文字通り
「オカズの無いディナー」
みたいなもんだ。

さらに追い討ちをかけるような事を言うと

カーセックスもこの世から消える

どうだ？男性諸君。
便利さと引き換えに、僕らは「大切な何か」を失ってしまう気にならないか？

車の中で自慢のモノを振り回し
「ハイ、タケコプター」
とか言いつつ
「あんあんあん、とってもだーいすき♪」
なんて返答を期待する、我々の小さな小さな楽しみまでもが奪われてしまうんだ！

バカバカしいわね、男ってのは

とお思いの女性の皆さん
あなた方も他人事ではありませんよ！
ここから先はエロとは関係なく、人類すべてに関係してくる話になります。



先程も言った通りどこでもドアの出現で、この世から車が無くなる。
それだけじゃない、電車も船も飛行機も無くなっちゃう。だって要らないんだもん。

現に原作でも未来ではどこでもドアの開発により「銀河SL天の川鉄道」という鉄道が廃線になるというシーンが描かれている。(第20巻)

ここまでは皆さんにとっても「予想出来る範囲のデメリット」だと思う。

過去を振り返っても、僕ら人間が作り上げた「科学の進歩」は常に文化を壊しながら発展してきたわけだ。

それによって僕らは便利さを手に入れた。

何も間違った事ではない。
科学の進歩は歓迎すべきだ

しかし、しかし僕は

この「どこでもドア」の開発だけは
止めなければいけない！！

という結論に落ち着いた。

なぜか。

絶対に我々は最終的に
「どこでもドアがない世界になれば良いのに」
と思う事になるから



どこでもドアが欲しい
と思う僕らの中には前提条件がある。
それは「自分だけ」どこでもドアを持っている
ということ。

しかし冷静に考えてみてほしい。
ドラえもんの世界ではあんな猫型ロボットでさえ、どこでもドアを所有できているんだ。

つまりドラえもんの世界の中で「どこでもドア」は、選ばれた1人ではなく誰でも所有出来る程度のモノと考えて良いだろう。

誰もがどこにでも行ける

これはすごく恐ろしいことだ。


仮に自分がみんなより早くどこでもドアを手に入れられたとする。

まず、僕なら会社を辞めます。

どこでもドアがあればお金なんて無限に手に入るよ。

「1回1000円で世界中どこにでも一瞬で連れて行ってあげます」

って広告を出せば、客は殺到する。
そう、どこでもドアを仕事にするんだよ。

1回の接客もドアを開けて閉めるだけ

数秒で1000円だ。

価格を1万円にしても客は殺到するだろう。

旅行に行きたい人
誰かにどうしても会いたい人
会社に遅刻しそうな人

理由はそれぞれだけど、使わない人なんていないだろう。それぐらい「どこでもドア・ビジネス」は手軽な上に需要が見込める。

通勤がしんどいからどこでもドアが欲しかったはずなのに、どこでもドアを手に入れたら会社を辞める、不思議なもんだ。

しかしやがてこのビジネスは廃れていく。
なぜか

みんながどこでもドアを持つようになるから。

そう、恐れていた時代の到来だ。

まず冒頭で触れたように車、船、飛行機が必要では無くなり、そこにまつわる業界の仕事が全て失われるだろう。町のネジ工場から板金屋、運転手、ガソリンスタンドまでぜーんぶ要らなくなる。

そして旅行業界も全滅だ。
そもそも旅行という概念がなくなる。
だって自宅から直接行きたい観光地に行けるんだよ？宿泊する必要もない。
これによって旅行代理店からホテル、また宿に食べ物を納品している農家までもが大打撃だ。

不動産屋だって他人事じゃない。
地価は値下がりするだろう。
だって都会に住む必要なんてサラサラないんだから。どんなクソ田舎に住んでも都会まで一瞬だよ？

つまりあらゆる業界がパニックに陥る。

株価は下落して富裕層の資産はゼロになり、企業は倒産が相次ぐはずだ。

どこでもドアの開発者が逆恨みから命を狙われる可能性だってある。

世界に目を向けると、戦争が勃発する。

最初に動くのはガソリン需要が激減して、窮地に追い込まれる中東だろう。

しかもこの地域にはテロを企てる者が多数いると考えられる。窮地に追い込まれたテロリストがどこでもドアを使用する、こんなに恐ろしいことがあるだろうか。

ドアを開けて各国首脳の部屋に行き、手榴弾を投げ入れる

これだけでテロが成功するんだ。

間違いなく命を狙われるであろう国のトップに立ちたい人間なんて誰もいなくなる。

こうして「政府」という存在が世界から消えていくだろう。

一方、日本国内はどうか。

平和なこの国でも犯罪が多発するはずだ。

日本人は大丈夫だって？

バカ言っちゃいけない。
世界中からどこでもドアで人がやってくるんだよ？

まず性犯罪が多発するだろう。
いきなり女性の寝てる部屋に男がやってくる。
そしてみだらな行為をした後でドアで去っていく。

そして万引きも多発するだろう。
ドアを開けて、欲しいもの取ってドアを閉めるだけ。

殺人だって多発する。
嫌いな奴が寝ている部屋のドアを開けて刺して、誰かの家に刺したナイフを投げ捨てて、自分は自宅に帰るだけ。

全部完全犯罪だ、防ぐことは出来ない。

それどころか部屋で1人、落ち着いてエロ動画さえも見てらんない。いつ誰が部屋に入ってくるか分からないからね。

お風呂場に入って来られる静香ちゃんの気持ち考えたことある？
よく考えてみてよ、アレ絶対マジ怖いって。

のび太さんのエッチ～！

うへへへ、こんなところもノビちゃった～

で済む問題じゃねぇよ。
プライベートなんてありゃしない。

誰も他人を信用出来ない世界

警察はどこでもドアで世界を自由自在に移動できる犯罪者を捕まえる事は出来ないだろう。

仮に捕まえたところで、仲間がどこでもドアで助けに来る可能性だってある。

そもそも政府が破綻している状態では警察から「公権力」が失われる。
警察官はこう思うだろう
「こんな仕事やってらんねーよ」って。


そしてこの犯罪の連鎖は
やがて世界中の仕事を奪う事になる。


皆さん予想してみて下さい。

どこでもドアが出来ても
無くならない仕事は何でしょうか

僕が最初に思いついたのは3つ
・食べ物に関係する仕事
・農家
・どこでもドアを作る、修理する仕事

まず思い浮かぶのは食べ物に関する仕事。
人間どんな犯罪者だって食べなきゃ生きていけないもんね。

でもこれは不正解。
食べ物を売る仕事も無くなります。

スーパーマーケットでは「万引き」が多発する。ドアを開けて盗んでドアを閉めるだけ。
こんなの防ぎようが無い。

間違いなく万引き被害のターゲットになる仕事を続けたいと思う経営者がいるだろうか？

同じく外食産業も食い逃げが増加して商売としてやっていけない。

一方「農家」と「どこでもドアを作る・修理する仕事」は安泰そうに思えた・・・

しかし、僕は気付いてしまった。

そんな職業の違いを飛び越えて
「そもそも仕事を続けるのは絶対無理」
という結論にたどり着いてしまったんだ。

なぜか。

「お金」に何の価値もなくなってしまうから。

良く考えてみてください。

万引き被害に遭いまくってこの世から「店」が無くなったら、僕らはいったい何にお金を使うんだろう。

演劇？スポーツ観戦？
ゲーム？インターネット？

いやいやいや、
じゃあそれらの演者・選手・コンテンツ運営者はお金を稼いで、何にお金を使うの？

農家の人も農作物を売ってくれない。
だってお金をもらっても仕方ないんだから。
いや、そもそも農作物を作らない。
どうせ盗まれるんだから。

そう、最終的にはお金の価値がなくなって、働いて金を稼ぐ意味がなくなってしまうんだ。

結果的にこの世から「仕事」という存在が無くなってしまう事になる。

じゃあ僕らはどうなるのか。

きっと誰もいない場所で、誰と関わることもなく、自給自足でひっそりと生きていく事になる。

これが「どこでもドアのある世界」だ。



日々犯罪者が来ないか怯えながら生きていく毎日、あなたは耐えられますか？

僕は耐えられない


誰とも関わりが無くなって
そのまま僕ら人間は絶滅するのだろうか？


皆さん安心してください。
人間はそんなヤワな生き物じゃない。


どこでもドアがある世界になっても
人類はきっと滅亡しない。


僕ら人類は必ず知恵を絞って
「どこでもドアが入れない道具」
を作り出すからだ。


その道具を使って誰かが「どこでもドアが入れない世界」を作ったとしたら、きっとその世界に入りたいと希望する人が殺到するだろう。

人々はこう思うはずだ。

旅行に時間がかかってもいい
通勤に時間がかかってもいい
あの子に会うのに時間がかかってもいい

それでも「どこでもドアが入って来れない世界」に住みたい


そう、彼ら「未来人」が望む未来は
僕らが不便だと感じている「今」なんだ

「どこでもドア」のない
不便で美しいこの世界

僕たちはこの不完全な「今」という時を
もっともっと深く愛して
もっともっと楽しまないといけない

そうだろ？ドラえもん



僕の目の前にはiPad
これが現代の科学の結晶


日々の不満はたくさんあるけれど
この平凡な日常がある事に
もっと感謝しないといけないなぁ

僕はそんな事を考えながら
今日もiPadの画面に映る
「マジックミラー号」を眺めています。