「自称 霊感が強い人」の続編です。
長いので暇な人だけ読んでください。

金縛り1000回オーバー、そして夢をコントロール出来るという「自称 霊感が強い人」Pさんの話。

世にはびこるありきたりな心霊体験はお腹いっぱいの僕は、たまに出くわす「自称 霊感が強い人」の霊が見えるだの物が動いただののつまらない話に飽き飽きしている。

忘年会で難波に行った時に、こんなやりとりがあった。

千日前って何で千日前って言うか知ってる？

過去何度も聞いた話だ。

何やら昔、大阪に3つ処刑場があってその中の１つが今の千日前だった。
そこでは108人が処されて処刑場を取り壊す際に供養でお坊さんが毎日毎日お経を読んでいた。
通行人はそれを見て
「あのお坊さんもう千日ぐらいお経読んでるんちゃう？」
と言い合い千日前という名前になったそうだ。

その後昭和になり今のビックカメラの所で日本最大と言われる犠牲者が出た大きなビル火災があった。ビルの8階だかのキャバレーのお客さんがテレビ生中継中に暑さに耐えきれず飛び降りたりという凄惨な状況だったらしい。
僕もYouTubeで見た事がある。
奇しくもその火災の犠牲者も108人だかで昔の呪いと言われ、今もあの界隈は一部では心霊スポットと言われているらしい。

話を戻すが、金縛り1000回の自称霊感が強いPさんに僕は聞いてみた。

僕「Pさんって何か心霊体験に出くわした事あります？
P「うーん、そうやなぁ・・・
あ、そうそう・・・
そう言えば 死の列車 に乗りました」

え？死の列車？？
何それ？？
そう言えば乗ったとか何そのカジュアル感。

直前にカミングアウトされた金縛り1000回の話で僕はお腹いっぱいの状態だ。
死の列車はデザートには重い。

会話形式ではなくPさんの死の列車なる話をまとめてみるとこうなる。


41歳独身のPさんが20歳の冬、彼は心斎橋で友達と忘年会をしていた。お酒が飲めないPさんはいつも通り食事をしながらコーラを飲んでいた。
21時ごろ解散となり彼は心斎橋駅で地下鉄御堂筋線でなかもず行きの電車を待っていた。
忘年会シーズンの心斎橋は人が多く彼は駅のホームで電車を待つ列に並びながら、心の中では座りたいけど無理だろうなぁと諦めていた。

なかもず行きの列車が到着し、彼は中央付近の車両に乗った。案の定電車は混雑しており、Pさんは人並みに押されるように車両中央に押し込まれた。
最寄駅までは20分ちょっとだ。
「やれやれ、これは疲れるなぁ」と思った時、幸運が訪れた。
目の前に座っていたおじいさんが席を立って降り口の方へ向かっていったのだ。
Pさんはラッキーと思いながらその席に座り、列車が動き出すと寝るでもなく目を閉じウォークマンでお気に入りの音楽を聴きながら自分の世界へと潜り込んだ。

心地よい感じで3曲目が始まった。
「そろそろ天王寺ぐらいかな？」
天王寺は人の出入りが多いので降りる人が多ければスペースを広げられるのだ。

しかし目を開けると・・・

車両の電気が消えており暗闇に包まれたまま列車は止まっている。

そして周りには誰もいない。

彼は暗闇に目を慣らしながら「これはどういうことだ？」と考えを巡らせたが状況が理解できない。

最初に出た発想が「車掌のところに行こう」

Pさんは暗闇の中、車掌のもとへ向かうために進行方向と逆に歩き出した。
少しずつ目も慣れたのだろう、苦労しながらも車両の乗り継ぎ扉まで来た。
しかし隣の車両もやはり真っ暗だ。

彼は焦って来た。
まさか自分は1人地下に取り残されてしまったのではないか。

その次の車両もやはり真っ暗だ。

彼は悪夢を取り払うかのように歩みを早める。
そしていくつかの車両を越え、乗り継ぎ扉を開けようとした時明かりが見えた。
救いを求めるかのように彼は急いで扉を開けた。

人の姿が見える！
車内が明るい！
助かった！
と思った瞬間列車が動き出した。

その時突然Pさんは激しい頭痛と吐き気でしゃがみ込んでしまったらしい。
列車はすぐに次の駅で停車し、Pさんはドアから出てホームへ降り立った。

ホームの椅子に座り込んだPさんは吐き気をこらえながら、走り出した列車の先頭車両を見て、ある違和感に気付く。

あれ？俺確か車掌に会いに進行方向と逆に歩いたのに何で先頭車両がここにあるの？
俺が乗ってた車両はどこ？

で、ここ、なんば駅？
音楽何曲か聴いてたのになんでまだ1駅しか・・・

呆然と座り込むPさんのもとへ駅員さんがやってきた。

「お客さん、終電行っちゃいましたよ」

21時過ぎに乗った電車だったのに・・・

結局Pさんはその日タクシーで帰宅したらしい。
あの電車は何だったんだろう。。。
車内でPさんはふと思った。

心斎橋と難波の間のあの場所で電車に何があったのだろうか。あの車両と時間はどこに消えてしまったのだろう。

これがPさんが体験した死の列車の話でした。

P「そうそう、カジくん。
心霊体験といえば・・・
僕ね、幽霊見た事あるねん。
白い服着た女の子でなぁ・・

Pさん・・・その話つまんないからいいや！

難波と心斎橋の間かぁ～。。。
あ、ちょうど千日前らへんやね・・・