暗闇の深い夜に
30代後半  埼玉県
2018/09/17 23:25
暗闇の深い夜に








時々、心が枯れたように感情の湧かない日がある 危険な兆候である


普段なら行きたいと思う場所に行くことが憂鬱で仕方なく、かといって行かずにいると妙な義務感に追い立てられて、結局遅れて目的地に向かう、とか 


読みたくてたまらなかった本を読むために時間を作ったところで急に無気力に陥るとか、誰と会っても優しく接することができなそうな予感がしたりする


原因は何か 答えは簡単


疲れているのだ それも重篤な疲労である


肉体の疲労は休めば癒える 心の疲労は少し厄介だけれども放って置いても大体において時間が癒やしてくれる



しっかり休養しても感情が沈み続けていたり、憂鬱が深いままでいるとしたら、それは魂が疲れている



魂(たましい)とか、魂魄(こんぱく)という言葉をつかうと神秘主義者じみて聞こえるかもしれないけれど、科学技術を以てしても不可視である生命体の原動力、つまり命のことである 私は心と魂とは一旦切り離して考えることにしている 


思うに心とは精神であり、その大半は脳機能である


脳機能が高度な人は知能指数が高いけれども、必ずしも感情豊かではない 経験による学習能力を用いて他人の感情を察しているのであって、同情とか共感をする機能を欠いている場合がある それどころか人によっては同情や共感を貶めている 私たちは結局のところ他者のことなど完全には理解していないし出来ないのかもしれない だからといって中途半端な同情共感を切り捨ててしまったら、いかにして他者との距離を縮めることが出来ようか


脳機能は時として感情を阻害するのではないか


根拠をうまく説明できないのだけれど、ある人が言うように、感情とは魂の声であると考えてみる


生命力の強い人は感情豊かで、弱い人は感情が乏しい、としてみる


それは個性であろう 心肺機能の高低や腕力の強弱のようなものであって異常ではない


異常を生ずる最大の要因は、長い年月に渡って自ら踏み固めた思考の偏りと歪みにある


魂の発する感情を、心(思考)の歪みが屈折させてしまうのである


すると他人の幸福を喜べなくなったり、脈絡のない憎悪を周囲に感ずるようになる


自分で自己肯定ができなくなり、常に他者の存在を必要とするようになる しかし、他者に対する興味は湧かない


ただ生きているだけで息苦しくなる この世に存在していることに苦痛を感ずるようになる やがて魂が疲れ果ててしまう




幼児期の私がそうだった




思い返せば、人間とは変われば変わるものなのだが、善くも悪くも一度長年に渡って培ったものを完全に忘れることは絶対にないと心得べきである つかい慣れた思考の癖は覚醒剤や麻薬に似て容易に手放し難いものである



それでは忘れがたく捨て去りがたい思考や習慣を手放すためにはどうするか、答えはひとつ



より強力な思考と習慣を身につけることだった



二十年にしろ三十年にしろ、自分一人の経験や思考、感覚にしがみついて生きてきたのだから、


十億人以上の人間が千年を超えて読み継いできた書物の言葉を、血となり肉となるまで頭に叩き込んでみようと思った



はたしてそれが本当に良かったのか悪かったのか、答えはまだ出ていない



自分が学ぶべきものを間違っているのではないか、本当にしなければならないことは何なのだろうかと迷いに迷っていた



その時に出会った言葉をここに記す




「学問の道は他無し その放心を求むるのみ」



人が学ぶべき本質とは、見失ってしまった自分の心を取り戻すことなのだ 飼っている犬や猫が居なくなれば必死で探し回るくせに、人は自分の心を放ったらかして素直さや純粋さを見失っていることに気付かない




「人、為さざるあり しかる後をもって為すあり」




人間には、これだけは絶対にしてはならないということがある 

何をするべきかを決めるのはその後でよい






「人の禽獣に異なる所以のものは、ほとんど希なり 仁義によりて行うか、仁義を行うにあらざるかなり」



人間が動物と異なる点は、実のところほんのわずかしかない 他人を思いやり、曲がったことをせずに行動できるかどうかにかかっているのだ









言葉は単なる言葉でしかなく、言葉がどこまで人を動かすことができるのか、私にはわからないし全くもって心許ないが、少なくとも見失った自分の心を取り戻すために役立つことがわかった



暗闇の深い夜の底から、自分の心を引っ張り出してみる 何が塞がり、歪んでいるのかよく確かめてみる




今、ふと王陽明の死に際の言葉を思い出した


弟子から遺言を求められて、



「この心、光明なり

またまた何をか言わん」






私も自分の心が深い闇に沈み込まず、暗闇を照らす光となるべく勉めていかなければと思う











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コメント

30代後半  埼玉県

2018/09/19 0:25

2.  >>1 ひまわり姫★お友達申請に参りますさん
言われてみれば、なるほど
私は常に自分と闘っているようです
自分と闘うなんて、本当ならばおかしいのです
それが必要なほどに自分というものをいまだによく掴めていないのですね 遠回りばかりしている人生です(^^ゞ

2018/09/19 0:13

1. 沈み込んでしまったら大変だけど

暗闇を知らなければ
光を見つけることも

照らすことも出来ない

その得体は 一人一人違うもの。

疲れてるということは…何か…心が闘ってるのではないかと…(((^^;)

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