寅ちゃんの秘かな蒐集癖
30代後半  埼玉県
2020/08/12 7:42
寅ちゃんの秘かな蒐集癖




最近始めたばかりですが、『定本 漱石全集』を揃えようと目論んでいます


これは最新の漱石全集です 4年程前に出たものですから、至って新しい本であります


何分高価なものでありますから、興味に従って一冊づつ中古を集めるよりありません 貧乏も貧乏ですが逐一丁寧に読み込むためならば、寧ろ貧乏も好都合に思われます



私のもとには全28卷中の、1卷、4卷、18卷の3冊が有るばかりです




1卷は『吾輩は猫である』

これは漱石先生38歳のデビュー作です 作中の堅苦しい話し方をする猫が、とても面白く可愛く感じられます 漱石研究にとっても日本の文壇にとっても重要な作品であると信じます



4卷は『虞美人草』

これは漱石先生が大学教師の職を退き、朝日新聞の専属作家として初めて書き上げられた作品です 云ってみれば、第二のデビュー作と云えるかもしれません

幼時より漢詩文に親しまれた先生としては珍しく、和文調の影響を隠さない、やわらかく優美な文体が目を惹く青春小説です



18卷は小説にあらず、『漢詩文』です

漱石先生の原点は漢文の古典と漢詩です
午前は小説、午後は日課として自分の趣味として詩作をしていたそうです

漱石文学と漢詩文の勉強ができる一石二鳥の書としてこれから愛読するつもりであります







なぜわざわざ全集を買って漱石作品を読むのかと云えば、旧かなづかいの原文のままに読むことができるからです


つまり厳密に云いますと、現在書店に置かれている新潮や文春等の文庫本は戦後の国語改革のために新かなづかいを以て書き換えられている本です 漱石先生が実際に書かれたものに新かな調による手入れを施していますから、悪意を込めて云えば、改竄しているのです
これは何も漱石作品のみならず、戦前の作品を刊行しようとしたら、どこの出版社もすべての作品に対してしていることです

勿論、それにはそれなりの読みやすさがありますから完全に否定しているわけではありません

一つ云わせてもらえば、戦後政策としても実に下らないことをしたなと思います 漢字と仮名の学習を公然と怠けることによって、現代人は近代の文章すら容易に読めなくなりました それでは必然、明治江戸の文章も読めません 当時の我が国の首脳は言葉が断たれるという意味が判っていなかったのですね 歴史と文化が死にかけている現代の禍根は、国語政策に多大なる責任があると云えます


それはともかくとして、同じ読むのならば漱石先生が書かれた通りの文章を読んでみたいと思いまして、その点に配慮された全集を読破することにしました



これが私の秘かな贅沢です(^^ゞ









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