何のために生きるのか、何のために学ぶのか

ときにはそうした根本的な疑問と向き合うことも必要である


ただし、答えは容易に見つからない
根本的な疑問というのは手近な行動を変えるために必要なのであって、疑問そのものを消滅させるために提起するものではない


何のために生きるのかを知るためには、実際に生きてみることが肝要である

何のために勉強するのかを知るためには、実際に勉強してみることが有用である

何のために結婚するのかを知るためには、実際にしてみなければ分からないのである


人類の歴史はおよそ20万年と云われている

かつて実際に生きてきた人々に訊ねさえすれば、人生とは何かが即座に解りそうな気もする

かつて実際に勉強してきた人々に訊ねさえすれば、その必要性が即座に解りそうな気もする

かつて実際に結婚してきた人々に訊ねさえすれば、その意味や利点が解りそうな気もする


しかし、それは違う
なぜなら

実際に行動したのは他人であって自分ではないからである


たとえば結婚に失敗した人が「なぜ自分は離婚する羽目になったのか」を誰かに教えを請うたとしよう　納得する助言もあるかもしれない　そうか、それが分かればもう失敗しないだろう!とまた結婚する

ところが失敗するのである　同じ相手と結婚するわけでもないし、助言を都合よく解釈しただけかもしれないし、単純に頭が悪くて勘違いしてしまっただけかもしれない　人格的に欠陥があるのかもしれない　しかしそこが肝心である　実際にしてみなければ人は自分を知ることができないのである　しても分からないことも多々ある　悲哀


結婚すればどんないいことがあるのかを考えて、その利点が分かったら結婚しようとしていたら、たぶん死ぬまで結婚することはない

自分が何を勉強すればいいのかあらかじめ判っている人などこの世にほとんどいないだろう　それさえ判っていれば義務教育などすっ飛ばして大学に入ることもそう難しくなかろう　大学すらすっ飛ばして起業するほうがよいかもしれない　皆それがわからないから学校に行って勉強するのである　勉強すらできない者にできることは何もない　スマホで終日検索しまくって勉強した気分になれる馬鹿なヤツはこの現代驚くほど多い　これも悲哀


自分が何のために生きるのか
それがわかるほどに生きた人はもう問うことがない

考えることは大切だが
人間は考えるまえに手足を動かして生きてきた動物であるに違いない