珈琲とレターセット
半年前から古い友人に手紙を書き損ねてきた 休日に何度机に向かって書き出しても失敗し続けて、とうとう4月を迎えてしまった
その友人というのは高校時代の同期である 私は当時の他の仲間とは全員音信不通となり、同じ高校時代を共有できる人物は彼一人のみとなっていた
とはいえ彼とも頻繁に会う間柄でもなかった コロナ禍の影響はないとは言い難いものの、それ以前からだいぶ疎遠になっていた
ほそぼそと繋がり続けて来れたのは、彼の実家が農家であった御蔭だ 私が横浜に移ろうとも、大阪に移ろうとも、毎年欠かさず新米を送り続けてくれた
昨年の10月のことだった 大阪を引き上げて故郷に戻った2年目、めずらしく彼とLINEトークをしていたときに「これから年に最低一度は手紙を書いて送るから」と書いてしまった これは唐突のようで実はそうでもなかった 友人が大学進学のために故郷を離れて数ヶ月後、はじめて手紙をくれたことがふと思い出されたからだ もう20年近く昔のことだ
その手紙の最後に書かれていたことを、私は今も覚えている
「おじいちゃんになっても友達同士でいたいな」
彼が毎年欠かさず米を送ってくれるのは、その手紙に書いたことを今も忘れていないからなのだろうか
私は毎年米を受け取るだけで、これといって何ら友達らしいことはしてこなかった気がした
今日ようやく手紙を書き上げて投函した
近所にあるログハウス調のカフェにレターセットを持ち込んで半日ほどかけて仕上げた 珈琲を飲みながら昔のことをできる限り思い出しながらゆっくりと書き上げた
不思議なものである 互いに互いを何ゆえに友達であるかが全く分かっていないのだ 趣味も仕事も性格も生き方も、すべてが真逆のように異なる
もし君が昔の手紙に書いたことを忘れていても、それは私が覚えているから大丈夫だ
今度会えたら、私が忘れている何かをきっと教えてくれ
その日をいつも楽しみにしているから
コメント
2023/04/03 19:50
2. >>1 るんたさん
お疲れさま(^^)
素敵要素、見つかりましたか?
肝心の手紙が素敵であったか否かは受取人にしか分からないけどね
昔から「文は人なり」と云われているけれど、
人も言葉も「不完全である」ところが似通っているなと思う
不完全な存在が完全を目指すのもよいが、
不完全な存在の良さを知ることが好きですな
私の文章は、よく「冷徹」と評されます
手紙には向かないと思っているから、
余計に気を遣いますな(^^)
返コメ
2023/04/03 14:13
1. お疲れさま(*^^*)
素敵な日記でした
私も手紙好きだなぁ☆☆
手描きってなんていうか
その人の温もりを感じられるよね
想いを言の葉に載せて
相手の心へ届くように丁寧に綴る
相手を大切に思えば思うほど
書き上がるのに時間がかかるんだと思うよ
返コメ