暑い…

信じられないぐらいセミが五月蝿い

五月蝿いと言う字を五月蝉いに変えたいぐらいやかましい…

半端じゃない数のセミが家の周りで鳴いている

一匹でもうるさいのに集団で鳴かれると騒音に感じる


俺は決してセミが嫌いではない

嫌いではないが、妙に張り切って鳴いている感じがするセミに若干のイラつきを感じる

そこまでして鳴かなくてもいいのに…と思う

しかし、奴等は奴等で必死なのだろう…

わかってはいるが妙にイラつく…

しかし、あれだ…

人もあれぐらい必死に鳴いて生きていかないとイケないのかもしれない

最近の俺は必死になって生きているだろうか…と考えてみる

ガムシャラになって生きているだろうか…



残念ながら答えはＮＯだ


理由：暑いから



暑いから動きたくないから何となく生きている
このままではイケない

外を見ると真っ黒に日焼けした野球少年が必死に素振りをしていた

清々しい汗をかく野球少年
それに比べて俺ときたら部屋で違うバットの素振りばかり


何でもいいから外に出て何かやろうと決めた俺は窓と網戸を閉めて服を着る

さて…
何からやろうか…

とりあえず、サッシから外れた網戸を直すことから始める

勢い良く閉めると外れる網戸…
開けたり閉めたりして悩むこと数分


途中、セミが五月蝿いので石を投げる

イラつきながら再度サッシにハメる

ハメては外れ

外れてはハメる

何度も繰り返す

ハメる相手が網戸しかいない現実に気づき若干ヘコむが、気を取り直して網戸をハメる


セミがうるさい

石を投げる

隣人が回覧板を持ってくる

小包が届く

汗を拭く

携帯が鳴る

セミがうるさい

石を投げる手を離してよそ見をする度に網戸が頭に直撃する


人間は知恵のある生き物

最終的に触れなければ網戸も倒れまいと思った私は、いつも開ける側とは反対側の窓に網戸を取り付けて終わらせる

落ちないのであればそれでいい
部屋に入り窓を閉める


汗をかいたせいだろうか…さっきまで五月蝿く感じたセミの鳴き声も気にならなくなった

シャワーを浴びたら外に出かけよう

窓の向こうに見える夏の青空…
そして…


触れていないのにいつの間にか外れた網戸


追い討ちをかけるかのように鳴きわめくセミに怒り狂った俺は外れた網戸を思いっきりブン投げ、放置したまま買い物に出かけた。


ヒロシ