029(丸福)プレート
子供のころ、小銭を握って駄菓子屋へ行くのが楽しみだった。
糸ひき飴、花串カステラ、モロッコヨーグルト、さくらんぼ餅などなど、 様々な菓子で満ち溢れる駄菓子屋は、まるでグリム童話に出てくる“お菓子の家”さながらであった。
駄菓子屋へ行くたびに、「ここにある駄菓子を全部買ってみたいなあ~」、なんて空想にふける。
だが、小さな手のひらを開くと、そんな空想など消し飛んでしまい、途端に現実に引き戻されてしまう。
たかだか百円玉の一枚や二枚では、とてもの事に駄菓子の買い占めなど出来るはずもない。
叶わなかったこの幼き日の夢は、いつか叶えてやらねばならない。
そこで、多少なりともお金の融通がきく大人になると、駄菓子の箱買い・大人買い、という行動に結び付くのであろう。
子供の頃と言えば、駄菓子屋だけでなく、喫茶店においても同種の飢餓感を覚えた。
家族で喫茶店へ行き、私がウエハースとさくらんぼの乗ったバニラアイスを注文すると、兄はホットケーキをたのむ。
隣の家の芝生は青く見えるもので、兄が食らい付くホットケーキが、私のバニラアイスより旨そうに見えてならない。
ことさら食い意地の張っている私はそっと、兄のホットケーキへ匙を伸ばすものの、母にその手をはたかれて、あえなく撃沈!
ーーーーーーーーーーーーーー
ああ!アイスクリームだけでなく、ホットケーキもプリンもいっぺんに食べることが出来たらなあ~
ーーーーーーーーーーーーーー
なんて幼い時分は、そう思ったものだ。
そんな幼少の頃に抱いた切ない夢を叶えてくれる店がある!
タカシマヤゲートタワーモールの7階にあるマルフクコーヒーテラスの『029(マルフク)セット』(1480円)がそれである。
やや大きめの黒い角皿には、 プリン・珈琲ゼリー・ドーナツ・ブラウニー・バニラアイス、そして斜めに削がれたバナナが三切れと、たっぷりの生クリームが盛られているのだ!
喫茶店において提供される人気デザートたちがワンプレートに集結した、「オールスター 夢の競演!」である。
当代の名優たちがこぞって出演している映画になぞらえて、このデザートプレートを、『スイーツ界のオリエント急行殺人事件』と呼びたいものだ。
「お味はいかがですか?」なんて、野暮なことは聞かないように、マズいわけがない!
まさに、【夢のデザートプレート、大人食い】である!!
もう一枚添付した画像は、この丸福珈琲のゆるキャラ『Mr.MARUFUKU』。
お腹に【29】と書いてあるので、精肉店や焼肉屋のキャラクターでも通用するのでは?と要らざることを思ってしまう私であった……。