冷抹茶と生菓子「雲の峯」
今日のお昼過ぎ、豊橋の三の丸会館の立礼席(りゅうれいせき)で、冷たいお抹茶をいただいてきました。
三の丸の会館の入り口手前に植えてある松の枝には、こんなものがぶら下がっていました。
紺色の木綿生地に白文字で「冷抹茶」と書かれた小さな暖簾が……。
何だか、夏場の中華料理屋の壁にある「冷やし中華始めました」という貼り紙を、ついつい連想してしまう。
400円の呈茶料を払う時、係りの女性から「お抹茶は温かいのにしますか?それとも冷たいのにしますか?」と聞かれたので、ここは迷うことなく「冷たい抹茶で」と答える。
席に着いてしばらく待っていると、お給仕の方が、朱の漆塗りの小さなお盆を運んで来てくれました。
お盆には、そのどちらも硝子で出来た菓子皿と茶碗が乗っています。
ガラス製の菓子皿に乗る上生菓子の銘は「雲の峯」。
「雲の峯」とは、ムクムクとして雄大なアノ積乱雲(入道雲)のこと。
積乱雲と言えば夏の風物詩なので、この時期にはぴったりな名前ですね。
真っ青に晴れ渡る夏空に、いくつもの積雲が折り重なり、やがて大きな大きな入道雲へと成長していく様を、このお菓子は表しているのでしょうか?
真夏の大空と幾つもの綿雲をイメージした、コバルトブルーと白色の練り切りを黒文字楊枝で切り分けると、中には小豆の粒が残るあんこが入っています。
あんこ・練り切りともに、しつこさを感じさせない上品な甘さでした。
口中に甘味が残っているうちに、苦味のある抹茶をいただきたいと思います。
涼しげなガラス製の茶碗に三分ほど点てられた抹茶には、二欠片(ふたかけら)の氷が入っていました。
この酷暑における冷たい抹茶は、まさに一服の清涼剤と言えます。
では最後に、本日のお茶席の花を紹介しておきましょう。
竹籠の花入れには、三種類の茶花が活けてあります。
淡い紫色の花が「都忘れ」、白くて可憐な花が「ナデシコ」、緑色の長い葉が「ススキ」の葉です。
美味しいお薄と和菓子、ごちそうさまでした!