金魚美抄2020~金魚を描くアーティストたち~
本日は、豊川市にある桜ヶ丘ミュージアムで開催されている「金魚美抄~金魚を描くアーティストたち~」と言う展覧会へ行って来ました。
『金魚美抄(きんぎょびしょう)』とは、本展覧会の監修を務める美術作家の深堀隆介氏による造語。
【抄】には、写し取る・紙をすく・サジですくう、などの意味があります。
そこから「金魚美抄」とは、金魚の美をすくい取って表現する、と言う意味。
金魚を愛する19名のアーティストたちによる約200点の作品を一堂に集めたのが、この展覧会です。
当展覧会では、金魚をモチーフにしたイラスト・油絵・ガラス作品・オブジェ・ミニチュアなどが展示されていました。
以下、19名のアーティストたちを簡単にご紹介します。
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①キタイミコト(イラストレーター)
金魚を可愛らしく描くアーティスト。
苺とホイップクリームを添えた三枚重ねのパンケーキの上に、胸ヒレにホークを持った和蘭獅子頭(オランダししがしら)が嬉しげな表情を浮かべる「パンケーキ」と言う作品が印象に残りました。
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②深堀隆介(美術作家)
制作に行き詰まり作家を辞めようとした時に、部屋で飼育している一匹の金魚を見て開眼し、金魚作品の制作を開始する。
2002年に、透明樹脂に直接絵を描く新しい絵画技法(滅面積層絵画)2.5Dペインティングを考案する。
金魚の一生(卵からの孵化→稚魚→成魚→産卵→死)を表現した「方舟」と言うオブジェが好きです。
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③いわたきぬ(イラストレーター)
金魚を女性に擬えた作品を制作。
本展覧会では「連作 金魚姫 全45枚」を出品しています。
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④網野篤子(ガラス作家)
白いホーローの器一つ一つに、ガラスで作った様々な金魚たちを入れた「金魚品評会」と言う作品が綺麗でした。
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⑤岩本夏樹(画家/イラストレーター)
岩本氏曰く「狭い世界の中で美しく優雅に泳ぐ儚い命は、しばしば創作物の中に花魁のメタファーとして登場します」。
花魁と金魚を重ね合わせた作者は、まつげのある色っぽい顔をした金魚を描いています。
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⑥上田風子(美術作家)
作者が幼少の頃訪れたレストランで目にした水槽。
水槽の中の二匹の金魚は、仲良く並んで調理をするコックをじっと見詰めているように、作者には思えたそうです。
本来、金魚は観賞される側ですが、作者である上田氏は逆転の発想で、金魚の眼差しから見た彼らの世界を描いています。
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⑦川田潮(イラストレーター&金魚ブリーダー)
甚平を着た若い男性が金魚鉢を見詰める姿や、浴衣姿の若い女性が金魚鉢を抱える「金魚鉢A」・「金魚鉢B」と言う油絵を出品。
これらの絵画は、本展覧会のために書き下ろした作品である。
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⑧空間金魚(イラストレーター、2Dグラフィックデザイナー)
「空間金魚」は、作家名。
金魚のあかと猫のくろが活躍する漫画のような絵本「ケーキが食べたい」、「ブリキタマゴララバイ」を扱ったイラストを出品。
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⑨小林美幸(ミニチュアドール作家)
●金魚の競り場を表現した「金魚の競り市」。
●多種多様な金魚を小さなガラスボックスに収めた「金魚図鑑」。
●金魚と植物を扱うお店「ゴールドフィッシュ&グリーンショップ」。
●金魚をモチーフにした小物や雑貨を扱うお店「浅草きんぎょ」。
●店内金魚尽くしの喫茶店「金魚古民家カフェ」。
どれもこれも緻密に作られたミニチュアが見事でした。
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⑩谷田有似(剪紙絵作家)
ハサミで薄い紙を切り、彩色したり重ね合わせたりする剪紙絵(せんしえ)の作者。
作品の一つ一つがどれも細かく丁寧に仕上げられていました。
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⑪土谷風斗(イラストレーター)
金魚と他の何かを掛け合わせた作品を制作。
印象的だったのが「不美人」と言う作品。
白とピンクの縞柄の背景に、後ろ向きに立つ一人の女性。
女性の肩から腰にかけては水槽になっており、その中では二匹の金魚が優雅に泳いでいる。
まるで、サルバドール・ダリのようなシュールな絵画。
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⑫西嶋みゆき(美術作家)
離れて鑑賞すると、様々な色の集合体や絨毯柄に見えるが、近寄って見るとそれは、無数に泳ぎ回る金魚たちであった。
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⑬西村はる(画家)
植物をモチーフにした飾り模様の
中で金魚を泳がす、という作品を制作。
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⑭晴智ありさ(グラフィックデザイナー)
晴智氏曰く「金魚とは心の拠り所であり、心の内を表す鏡のような存在」。
画中の美しい花を纏った金魚は、人間の女性を彷彿とさせる。
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⑮藤本絢子(美術作家)
藤本氏曰く『金魚とは、言葉に出来ない感情の揺らぎや衝動を乗せる【いれもの】・【依り代】である。金魚は美しくて儚い。愛らしくてグロテスクでもある。そのような金魚の持つ多面性は、人の内面にも通ずる』と。
確かに、金魚の種類によってはグロテスクに見えるものもある。藤本氏の作品は、金魚の一面でもあるそのおどろおどろしさを表現している。
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⑯堀としかず(ストレーター/画家)
自然の中で自由に泳ぎ回る姿がより金魚が美しく優雅に見えると考え、中国の水墨画にあるような深山幽谷の中で、自由自在に泳ぎ回る金魚たちを描く。
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⑰矢萩ひかる(金魚作家)
羊毛フェルトを使用して作られた金魚たちは立体的かつリアルで、素材による温かみや優しさを感じる作品であった。
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⑱誘牙(イラストレーター)
作家名は【ゆうが】と読む。
和の題材と金魚を掛け合わせた作品を作る。
この作者の作品で面白かったのは、白のスニーカーに赤い金魚と桜を日本画のように描いた「桜」。
また、黒のスニーカーに赤い金魚と椿を和風タッチで描いた「椿」。
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⑲夜舟(画家)
作家名は【よふね】と言う。
少女の脚の優しい曲線が好きで、それを好んで描いている作家である。
本展覧会では、少女の足に美しい金魚の鱗やひれを描いた作品を出品している。
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以上、上記のアーティストたちの作品の他に金魚を題材とした、浮世絵・食器・陶器・かんざし・錠前・刀の鍔・印篭・根付・煙草入れ・硯なども展示されています。
今回、展示室内の作品は撮影不可でしたが、ロビーに置かれた展示物や作品は撮影OKだったので、この日記に画像を添付しておきます。
まず、頭に金魚の被り物をしている女の子を描いた作品は、土谷風斗さんの「Identify With You」と言うイラスト。
残りは、参加アーティストたち19名の作品をデザインして制作された「金魚絵行灯大屏風」です。
この展覧会は、11/8(日)まで桜ヶ丘ミュージアムで開催されていますので、是非とも興味のある方は、足をお運びください!
芸術の秋ですから、極彩色の金魚たちが泳ぎ回る美術館の中で、夢のようなひと時を過ごしてみませんか?