「さわやか」のげんこつハンバーグ
静岡県民で、「炭焼きレストラン さわやか」を知らない人は、まずいないであろう。
「知らなければ、そいつは潜りだ」といっても過言ではないほどの超人気有名店である。
当店の名物は、何と言っても牛肉100%で出来上がった「げんこつハンバーグ」であろう。
この日記は、「日本一爽やかな中年」を目指している私が、「さわやか」のげんこつハンバーグを食べた、という話である。
静岡在住の知人から、『「さわやか」はいつも混んでるよ』と聞いていたので、混んでいそうなお昼時と夕飯時はあえて外そうと考えていた。
そこで私は、夜ご飯にはまだ少し早いであろうと思われる時間帯を狙い、浜松駅近くの遠鉄百貨店8Fへと向かった。
しかし、私の考えは甘かったようだ。
平日の17時少し前に入店したのであるが、すでに店内の待合椅子には4組の先客たちが、腰を下ろしていた。
先客たちの中には、ピンク色のキャリーバッグを提げた若い女性の姿もある。
思うに、音に聞く「さわやか」のハンバーグを求めて、静岡県外からわざわざやって来た娘に違いない。
緊急事態宣言の影響で、東京都内の飲食店では、酒類の提供が難しくなっているようだ。
そこで、どうしても外飲みしたい人たちは隣県の川崎市まで遠征して、お酒を飲むという。
こう言うのを「越境飲み」というらしい。
してみると、ピンクのキャリーバッグを提げた彼女や、お隣の愛知県からやって来た私なんぞは、「越境食い」という事になるのであろう。
静岡県民なのか、はたまた近県から足を運んできた「さわやか難民」なのか、そいつは定かではないが、私が待っている間にも、続々と人がやって来る。
20分ほど経った頃、ようやくテーブルへ着くことが出来た。
メニューを渡されたが、ここはやはり迷うことなく当店名物の「げんこつハンバーグ 250g」を注文することにした。
「ハンバーグのソースは二種類ございます。デミグラスソースとオニオンソースですが、どちらになさいますか?」
と接客係の女性に聞かれたが、逆に私はこう聞き返してみる。
「オススメはどちらですか?」と。
接客係の女性は、しばしの迷いもなくこう返答した。
「私だったら、オニオンソースをおすすめします。もし、どちらか迷ってしまうようであれば、どちらのソースもお試し出来るハーフ&ハーフもございますが」
と……。
「そんな欲張りなソースがあるなら、それにしよう!」と、私はハーフ&ハーフをたのんだ。
「さわやか」には、げんこつハンバーグの他に、げんこつより少し小さい「おにぎりハンバーグ 200g」というものもあるらしい。
「げんこつハンバーグ」は父親の愛情を、「おにぎりハンバーグ」は母親の愛情を表したネーミングのようだ。
それではハンバーグが来るまで、テーブルの上を確認してみよう!
テーブルの隅には、黒胡椒と岩塩の手動式ミル、そしてハバネロソース(中辛) が常備されている。
そんな余計な事をしているうちに、ジュウジュウと小気味の良い音を立てる鉄板が、私のテーブルへと運ばれてきた。
さわやかでは、接客係が運んできたハンバーグの仕上げをしてくれるのだ。
肉切り包丁のような巨大なナイフとホークの親方のようなイカついホークを使い、ハンバーグを二つに切り分け、切断面を鉄板に押し付ける。
ジュジュジューと鳴くハンバーグに目掛けて、接客係が見事な手さばきで二種類のソースを同時に注ぐ。
表面こそ焼けてはいるが、中はレアの状態で真っ赤である。
レアが苦手な人は、余熱を充分に持った鉄板で、自分好みの焼き加減にすることをおすすめする。
では、実食!
牛の姿を象った鉄板の上には、ハンバーグの他に付け合わせの野菜として、ブロッコリー・ジャガイモ・カボチャ・人参が乗っている。
肝心のハンバーグだが、混ぜ物無しの牛肉100%ハンバーグだけあり、良い意味で噛みごたえがあり、肉の旨さを十二分に感じられる逸品である。
これだけ肉の旨さを感じられるハンバーグなら、ソースなぞを掛けずに、黒胡椒や岩塩で味わってみるのもアリだろう。
ソースは、接客係の女性がおすすめしてくれたように、デミグラスよりオニオンの方が、美味しかったように思う。
何度でも食べたくなる美味しいハンバーグ、ご馳走さまでした!