厚焼きハンバーグステーキ デミグラスソース
岡崎市美術博物館の2Fにある、レストラン『YOUR TABLE(ユア テーブル)』にて、少しリッチなランチを頂いて来ました。
ランチの開始時刻は、午前11時。
私は、少し急ぎました。時計を見ると、11時を10分ほど過ぎています。
前回、このレストランの入り口に立ったのは、もうかれこれ4年ほど前のこと。
その時は、エーコル・ド・パリを代表する画家キスリングの展覧会が開催されている時でした。
時間を忘れ、絵を観ることに夢中になっていた私は、昼食のことなどスッカリ頭に無かったのです。
【たしか、2階にレストランがあったよなぁ、もう12時半だし。観覧を中断して、そろそろ昼飯でも食べるかぁ。再入場もできることだし】
軽い気持ちでレストランへと向かった私の考えは、とても甘かったと言わざるを得ません。
展示室を出てレストランへと続く階段を見上げると、そこには長蛇の列が……。
長い行列を横目に見ながら階段を上り終えた私は、レストランの入り口から店内の様子を窺いました。
当然のことながら満席……やんぬるかな。
あきらめて階段を降りた私は、1階の受付で、近くに飲食店があるかどうかを尋ねました。
すると……。
「2階のレストランがいっぱいでしたら、もうこの辺りには飲食できる場所はございませんよ」とのこと。
そりゃそうでしょう。なんせこの美術館は、岡崎市郊外の山の中腹にあるんですから、見渡す限り一面の緑で、お店なんかあるはずもない。
その日は、空腹を我慢しながら、絵画鑑賞を再開することになりました。
そんな苦い思い出があるので、私は急いでいるんです。
さて、ここからが本題です……って、前置きが長過ぎるわっ!
本日は、大正と昭和のはじめ頃に活躍した名取春仙(なとり しゅんせん)という画家の役者絵を観に来たのですが、絵は後回しです。
レストランへ足を踏み入れると、すかさず店員さんが、私の方へ歩み寄ってきます。
「いらっしゃいませ。ご予約のお客様ですか?」
「いえ、違います」
それとなく店内を窺うと、お昼前にもかかわらず、テーブル席の8割方は埋っている。
余程、人気のあるお店に違いない。
【もしかして、4年前の悪しき再現になるのでは……】
「そうですかぁ……えーと……そうですねぇ……」と、店内を見回す店員さん。
言いようのない不安に襲われる私。
「あっ!一席空いています。どうぞこちらへ」と、二人掛けのテーブル席へと案内される。
どうやら今回は、ランチにありつけそうだ。
私は、メニュー表から、「厚焼きハンバーグ デミグラスソース」をたのむ事にした。
メイン料理のハンバーグには、パンかライスのいずれかと、飲み物が付く。
私は、ライスとアイスコーヒーを選択。
追加料金300円で、本日のデザートプレートが頂けるので、それもお願いしました。
今日のデザートは、抹茶のブラウニーと薩摩芋のパウンドケーキの2種類。
私は、薩摩芋のパウンドケーキをチョイスしました。
まずは、前菜のサラダの盛合せがやってきます。
ガラスの丸皿には、結構な量の各種サラダが盛られています。
●レタスのドレッシング和え
●ニンジンの酢漬け
●紫キャベツの甘辛煮
●ツナとキュウリのマヨネーズ和え
●卵とポテトのサラダ
●ひよこ豆とレンズ豆のカレーソース和え
●縁に黒胡椒を纏った薄切りのハム
そして小さなココットには、冷製のコーンポタージュが。
新鮮な野菜が売りのレストランだけあり、どのサラダもとても美味しかったです。
次に、メインの厚焼きハンバーグがやってきました。
コバルトブルーの丸皿に、じっくりと煮込まれたデミグラスソースの焦げ茶色が映えます。
付け合わせの野菜は、ポテトフライと紫玉ねぎの素揚げとクレソン。
厚みのあるハンバーグは、表面はカリっと焼かれており、箸を入れると肉汁が溢れ出てきます。
柔らかいお肉と極上のブラウンソースが、口の中で良いハーモニーを奏でる。
4年もお預け喰らいましたが、長い間待ったかいのあるお味でした。
さあ、最後は食後のデザート。
白い磁器に乗った薩摩芋のパウンドケーキは、生クリームとチョコレートソース、シュガーパウダー、そして薄くスライスしたアーモンドでデコレートされています。
パウンドケーキは、しっとりとしており、一口含んだだけで、薩摩芋の甘さと香りが口中に広がる、絶品のスイーツでした。
食後、贅沢な気分に浸りながら、絵画鑑賞をすることが出来ました、ご馳走さまです。
名取春仙の役者絵については、また次の日記で。