掟破りの焼そばパン
「道の駅 とよはし」に、『コッペとサンド オリーブの風』というパン屋がある。
店内で焼き上げる渥美半島高級食パンや、カレーパングランプリでかつて金賞を受賞したキーマカレーパンなどで有名なお店だ。
店名に、「コッペとサンド」と謳っているように、地元産の野菜や肉などを使ったサンドウィッチや目の前でお好みの具材を挟んでくれるコッペパンサンドもある。
また大きめにカットしたバナナ、パイン、イチゴ、イチジク、キウイなどをホイップクリームと共に食パンで挟んだフルーツサンドも人気商品の一つだ。
今回ご紹介したいのは、先に記した商品のいずれでもなく、「こんな焼そばパン、見たことありますか?」と、少し自慢気に問うてみたくなるような焼そばパンだ。
とにかく、パンと焼そばのバランスがすこぶる悪い、掟破りの焼そばパンなのである。
それはまるで、力の均衡を失ったお笑いコンビのようだ。
ツービートで例えるならば、焼そばがビートたけしで、コッペパンがビートきよし。
ドランクドラゴンで言うならば、焼そばが塚地武雅であり、コッペパンが鈴木拓だ。
これだけの見た目格差が生じると、否応なしにコッペパンの存在感が薄れてしまう。
「コッペパン……何それ?あ~あ、焼そばの相方ね!そう言ってもらうと分かりやすいわ」ってな具合に……。
プラスチック製のフードパックに収まった焼そばパンは、見た目はほぼ焼そばで、ご丁寧に箸まで付いている。
それでは、この焼そばパンをつぶさに観察してみよう。
側面に深く切り込みを入れられたコッペパンは、まさにアジの開きのようなさまである。
バターとマヨネーズをほんのりと敷いたコッペパンは、焼そばを盛るだけの器にしか見えない。
一方の焼そばは、ニンジン・キャベツ・豚肉・ソーセージを具材とし、コクのあるソースで炒めてある。
この焼そばが、なかなか旨いのだ。
主役である焼そばのために、友情出演してくれたコッペパンには申し訳ないのだが……思い切ってコッペパンの出演シーンを全てカットしたい。
つまり焼そばだけ単体で商っても、十分需要があるのではないかと思うのだが……。
コレだけ美味しい焼そばパンではあるが、一つだけ不満がある。
それは商品名だ。
かなりインパクトのある焼そばパンなのだが、残念なことに商品名はただの『焼そばパン』。
コレでは、ちょいとイケない気がする。
お節介は承知の上で、いくつか商品名を考えてみた。
例えば、メガ盛り焼そばパンとか……マンガ盛り焼そばパンであるとか……デラ盛り焼そばパンなど。
見た目はほぼ焼そばなので、『ほぼほぼ焼そば……パン』なんていうのはどうだろうか?
また、コッペパンは焼そばのお皿代わりなので、フジパンのCMソング「朝はパン♪パン・パ・パン♪」をもじって「皿はパン♪パン・パ・パン♪」という名前なぞ良いかもしれない。
いや、コッペパンはもはや刺身のツマのような存在で、添え物感が半端ない。
ソレならば、フレンチのような長ったらしい名前を付けてみたらどうだろう?
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伊良湖岬の潮風薫る豊橋産の肉と野菜を使った地産地消の大盛り焼そばア・ラ・ジャポネーズ
バターとマヨネーズを塗ったコッペパンを添えて
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って、誰が買うんやっ、そんなもん!
美味しい焼そばパン、ご馳走さまでした。